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高校生編 第10話
甘い香りを吸い込むと、くらりと軽い眩暈がした。心臓が早鐘のように打つ。血液が沸騰したように、全身が熱を持ち始める。
「こ……にぃ……からだ……おかしい…………」
紘一を掴んでいた指先に力がこもる。
荒い息づかいの蒼を床に横たえ、唇を重ねた。
オメガの発情は、抑制剤を飲むか、アルファの精を胎内に受けないと静まらない。今の蒼を楽にする方法として、その後者を紘一は選択したのだ。
自分の好きな相手が、目の前で発情しているのに、それに目をつむることはアルファの本能が許さなかった。
啄むような口づけから、貪るように深く舌を絡ませあう。角度を変え、何度も口づけながら、蒼の制服のボタンを外すと、胸に手を這わせ突起を指で捏ねる。
「ッン……あぁ……」
蒼の腰が跳ねた。制服のズボンに徐々にシミをつくる。後ろも分泌液が溢れているのか、前も後ろもシミが広がっていた。
「も……や……あ、……ほしい……はやく」
性欲に支配された蒼は、焦点の合わない瞳で紘一に懇願する。自ら腰を浮かせると、下着と一緒にズボンを脱ぎ捨てる。
更に濃くなった香りに、紘一の僅かに残っていた自制心は打ち砕かれた。
蒼の脚を開き、その間に身体を割り込ませると、秘部に骨ばった指を挿し入れる。中の粘膜をぐるりとなぞるように動かすと、蒼が甲高く啼いた。
「あ、あ、………ンァ……」
一点を執拗に攻め続け、指を増やし、更に攻めた。先走りの汁がお腹に垂れ、それが腰を伝い床に落ちた時、一気に指を引き抜いた。
紘一は逸る気持ちを落ち着かせるため、一度深呼吸をする。
ベルトを外し、ズボンのジッパーを引き下げる音がやけに耳に生々しく響く。隆起した雄が下着を押し上げ、脈打っていた。
その頃、翔太は校門の近くで、八歳年上で番の芹沢 優斗 と、どこかぎこちなく会話をしていた。
そこに、血相を変えた高瀬が、汗だくで息を切らして走ってきた。
「おい!! 佐久間探したぞ! 大変だ。オメガの匂いが!」
「場所はどこです!?」
「二年三組だ」
「え?」
つい数十分前に、生徒会長の結城紘一と別れたのが二年生の階だ。
嫌な予感がした――。
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