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高校生編 第11話
分泌液がとめどなく溢れ、アルファを誘う。紘一はゆっくりと腰を進め、根元まで挿入すると、馴らすように、腰を揺らした。
「蒼……」
蒼の胎内に収めた欲望は、今にもはちきれそうだ。
「……あっ…………んっ……」
グズグズに熟れた後孔に、紘一は欲望を何度も打ちつけ、熱病に浮かされたように、蒼の名を呼ぶ。
奥まで突き上げたのと同時に、欲望の根元が膨らんだのがわかった。
もう後戻りは出来ない。
オメガが妊娠するといわれている器官に、勢い良く白濁の液を流し込む。長く続く射精の中、蒼のうなじに舌を這わせ、番の刻印をつけるために大きく口を開く。
『今でも後悔しています』
翔太の言葉が脳内を木霊する。その言葉の真意に気づき、紘一は息を飲んだ。
「好きでもない相手と番になってしまい、後悔している」のだと思っていたが、それは違う。
「好きでもない自分の番にさせてしまって、後悔している」だ。
蒼にはまだ告白もしていなければ、その返事をもらったわけでもない。
うなじに噛み痕を付けず、紘一は口を閉じた。
翔太達が二年三組の前に着いた時には、周辺にオメガの匂いを嗅ぎつけたアルファや、野次馬のベータが十数名集まっていた。翔太は高瀬と共に先に人払いをした。
「誰かいますか!?」
ノックと同じタイミングで、焦った翔太の声が聞こえる。
「鍵を開けますよ!」
文化祭の期間中、各クラスの鍵は生徒会が管理していた。翔太は優斗と共に二年三組に足を踏み入れると、すぐに中から鍵をかける。
「結城会長……」
教室の隅で紘一と蒼の姿を見た翔太は、この教室で何が起きたのか全てを察知した。蒼は床に横たわったまま眠っていた。そして、その傍らにいる紘一は、いつもきっちりしている髪は乱れ、制服も着崩れていた。
『会長の結城紘一君、至急職員室まで来てください』
校内のアナウンスが流れた。オメガの対処は生徒会に一任されている。その報告をするのが会長の仕事だ。
「会長、ここは私達に任せてください。オメガは外部の人間だったと報告してください。ちゃんと制服を着て、髪を整えてください」
「あ、あぁ……」
顔を上げ、初めて翔太以外に人がいたことに気づく。怠惰な動きで立ち上がると、翔太と優斗に頭を下げる。
制服を正し、髪を整えると、目を閉じる。息を一つ吐き、再び目を開いた時はいつもの紘一の眼差しをしていた。
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