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社会人編 最終話
十数年ぶりに蒼と肌を重ねる。それだけで卒倒しそうなくらい嬉しい出来事だ。紘一を病着を手早く脱ぐと、蒼の服に手をかける。
「紘兄……」
紘一の左頬から首もとに掌を滑らせる。
「……どうした?」
優しく微笑む紘一に、蒼は顔を寄せると、唇を合わせた。
熱い舌先を絡め、互いの口内を余すところなくなぞる。蒼の口の端から受け入れられなかった唾液が溢れた。唇が名残惜しそうに離れると、蒼が呟いた。
「しあわせ」
「俺も……」
汗でくっついた前髪をかきあげ、紘一は噛みつくように口づけた。
紘一は長い指で器用にボタンを外すと、蒼のシャツを脱がせ、胸元に手を這わせる。突起を抓み、ぷくりと立った突起を捏ねると、蒼が仰け反った。
「んぁ……ぁっ……!!」
弾みで唇が離れると、紘一の唇は首筋から鎖骨へと移り、舌先で飴を転がすように突起を舐める。
「は………っ……んっ……ぁ」
酸素を求めて、蒼の胸が上下する。
薄くはなっているが、脇腹に残る傷跡が視界に入る。その傷跡をそっと撫で、何度も何度も舌を這わせる。
「だいじょ、ぶ。も……痛く……ないよ」
蒼が身を捩る。
「ごめん、蒼。……辛い思いさせて……これからは俺が守るから……」
蒼の甘い香りに、紘一もいよいよ我慢出来なくなる。狭いソファーの上、上肢を起こすと、自分の下着を脱ぎ、蒼のズボンを下着と一気に取り払った。
先走りを漏らす蒼の欲望を、大きな手で包むとゆるゆると扱く。
高校の時とは違い、少し焼けた肌と鍛えられた紘一の肢体に蒼は思わず唾を飲んだ。
「うぅ……ン……ぁ……やぁ……」
粘着質な分泌液が後孔から流れ出た。紘一は後孔を指で解すと、重量を増し大きく膨らんだ自分の欲望を狙いを定め、蒼の胎内の最奥まで一度に腰を進めた。
「ああ!!………っはぅ……」
蒼の欲望から、白濁の液が飛び、腹を濡らした。紘一が腰を引くと、蒼の中がきゅっと締まる。
「あ、や、ぬかないで……」
蒼は脚を紘一の腰に絡ませる。
「そんなこと言って……どうなっても……知らないぞ」
その言葉を合図に、腰を激しく揺らす。
「あ、あ、あっ……こう…………こういち」
蒼の濡れた瞳に、釘付けになった。初めて、名前を呼ばれたのだ。
「蒼!!」
最大まで膨れ上がった欲望が、蒼の胎内で弾けた。蒼を力強く抱きしめると、ほんのり赤くなっているうなじに、歯を突き立てた。
「あぁぁぁ!!!」
蒼が歓喜の甲高い声を上げた。
紘一は丁寧に血が滲んだ首筋を舐める。
「蒼」
今まで番になれなかった時間を埋めるように、射精が続く長い間、お互い唇を離さなかった。
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