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高校生編 第6話

 お昼休み、生徒会室でお弁当を広げる蒼と、パンにおにぎりと炭水化物のオンパレードを購買から買ってきた紘一は、向かい合わせで昼食を摂っていた。  いつもはお互い同じクラスの友人達と教室で食べているが、用事があると紘一が呼び出したのだ。 「今度、蒼にお礼したいんだ」  そう言いながら、紘一は購買の一番人気の焼きそばパンを頬張る。 「お礼? 何かお礼してもらえることしたっけ?」  蒼は玉子焼きを箸で口に運びながら、首を傾げる。 「毎朝起こしてくれてるだろ。その、お礼」 「お礼してもらえるようなことじゃないよ!」  ぶんぶんと首を横に振り、全力でお礼を断る蒼に、紘一は早々に切り札を使う。 「、お礼したいの。何がいいか、考えておいて?」  蒼には半ば強引に承諾してもらい、紘一は蒼の返事をしばらく待つことにした。 「正直、会長にそこまでの強引さがあったなんて驚きです」  放課後、翔太にお昼休みにあった出来事を話すと、驚いた様子で、紘一を凝視した。ファイルを本棚から取り出しながら、紘一は横に並ぶ翔太に手渡す。 「うじうじ考えるのはもうやめた。昨日のことがあって、そう思った。佐久間、昨日は蒼のこと助けてくれてありがとう」  事の顛末を翔太から聞いていたわけではなかったが、聞かなくても美術部の顧問に蒼が危ない目に遭わされたのはわかっていた。  腰を折って深々と頭を下げた。 「会長、頭をあげてください。私は当たり前のことをしただけですから」  頭をあげると、紘一は力強い眼差しで決意を語った。 「文化祭が終わったら、蒼に自分の気持ちを伝えるよ」  生徒会会長として、文化祭が最後の任務で、文化祭が終わったらあとは受験に集中しなくてはいけない。第一希望の大学は塾の模試でA判定が出ているものの、油断は禁物だ。 「応援しています。私で力になれることがあったら、いつでも言ってください」 「ありがとう」  必要なファイルを本棚から出し終わると、本棚のガラス戸を閉める。 「佐久間いるか!!!」  静寂を破るように、生徒会室に駆け込んできたのは副会長の高瀬だ。佐久間がいることを確認すると、走ってきたのか、荒い息整える間もなく叫んだ。 「大変だ!! オメガが!! すぐ来てほしい!」  『オメガ』その言葉を聞いた瞬間、翔太は手に持っていたファイルを近くのテーブルに置き、高瀬とともに駆け出して行った。

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