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第6話

 そして、夏の大会が終わり俺達は引退した。  部活という接点がなければ同じ学校でも殆ど会わない。そう思うと本当に俺達は部活でしか繋がりがなかったのだと実感する。  予備校に通う毎日の中、ふと匡人のシュートが見たくなった。そんな俺はきっと欲求不満なのだろう。  少しだけ見たら帰ろう。そう思いながら歩いていると体育館裏から人の話し声が聞こえてきたので、何となく覗いてみた。 「……私、岸谷くんの事が好きなの」  初めて人が告白する現場を見て、そして告白されている相手が匡人だったから咄嗟に物陰に隠れてしまったのだけど、それは現実を突き付けられたような気分だった。  当たり前だけど、女の子といる姿が似合っていたのだ。  一気に気分が落ちる。  さっきの子、可愛い子だったな。付き合うのかな。キスとかそれ以上の事とかも……いつかはするんだろうな。とか想像だけで落ち込み肩を落としていると、匡人が歩いてきた事にも気付かなかった。 「……覗きですか?」 「わ! ち、違うよ! さっきの子は⁉︎」 「帰りましたよ」  いつものように淡々とした口調は胸に刺さる。 「つ、付き合うのか?」 「付き合いませんよ。覗いてた癖に中途半端な覗きですね」 「だから覗きじゃないって!」  でもこのやり取りからさっきの告白を匡人が断ったのだとわかり少しだけホッとした。 「何で断った?」 「それは先輩に関係ない事です」 「可愛い子だったじゃん」 「好みだったんですか?」 「ち、違うし! でもあんな可愛い子振ったんだろ。だからお前のタイプとか聞いてやろうって思っただけだし」 「どうして先輩に言わなくちゃいけないんですか」 「いいから言えって!」  するとあからさまに嫌そうな顔をした匡人は大きく溜息をついた。

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