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しばし互いの微熱に溺れていた唇と唇がようやく離れて。 代わりに濃密に交わった視線。 「ごめんな」 また謝られた琉真は何度も瞬きした。 下顎にまで唾液を滴らせた麻貴は口内に残っていた琉真の雫を呑んで、言う。 「俺なんかが初キスの相手で」 「……じゃあ、麻貴さん、もっと謝って」 琉真は熱が溜まるに溜まった下肢を麻貴に押しつけた。 「俺を、こんなにしたの、麻貴さん」 はぁはぁと喘ぎがちな年下の男子高校生が及んだ発情行為。 壁に押さえつけられていた両手が自由になり、麻貴は、二人の狭間に利き手を滑り込ませる。 「ごめん」 「あ……責任、とって……早く……」 「こんな風に、か……?」 制服越しに優しく撫で上げられて琉真は眉根を寄せた。 快感は素直に表情に出す彼に麻貴は見惚れた。 視線を独占されながら股間の膨らみを愛撫してやる。 「あ、っ……ぅ」 「どうする、琉真……脱がした方がいいか? 嫌ならこのまま、」 「脱がして」 甘えるように頬擦りされて。 狂的な胸の高鳴りに息苦しくなった。 「ちゃんと……さわって、俺に……」 「ん、わかった……」 「っ……あ……あ……あ……麻貴さ……っ」 黒のボクサーパンツもろとも服をずり下ろして規則的に動き始めた麻貴の手に琉真はぐっと唇を噛み、目の前の肩を鷲掴みにした。 元恋人にもたらされた痛みとは違う味。 全力で縋りついてくる彼をとことん甘やかしてやりたくなる。 健やかに育ったペニスのさらなる成長を一心に促してやる。 「ん……っ……っ……っ……!!」 とうとう麻貴の肩に歯まで立てて琉真は一段と腰を震わせた。 勢いよく迸った飛沫。 掌に刻み込まれた絶頂の甘い戦慄。 「もっと……もっと……麻貴さん……」 「はぁっ……はぁっ……」 初めて他人の手に絶頂を教えられた。 なかなか興奮の波が引かず、頻りに腰を波打たせ、腹底に満ちた熱がおさまるどころか増していく感覚に琉真は猛烈な眩暈を覚えた。 「なぁ……俺の肩粉々にするつもりか?」 ふと鼓膜に届いた声。 琉真は物憂げに瞬きする。 「ちょっと痛いかな、熱いし、せめてクーラーくらいつけようか、琉真」 麻貴さんは。 あの人とどれくらい付き合ってたんだろう。 どれくらいキスして、どれくらいセックスしたんだろう。 他にもどんな人と、男だけ? 女は? 俺みたいな年下は……? 質問をぶつける代わりに琉真は麻貴にキスした。 頭の中で雁字搦めになった問いかけを吐き出すように無我夢中になった。 溢れ出す二人の唾液。 静寂に執拗に鳴らされる水音。 壁に再び両手を縫い止めて色んな角度から。 時に暴走気味な唇を宥めようと上目遣いにやんわり睨まれて、逆に刺激されて、勢いに加速がついた。 初めての欲望にすっかり平伏してしまった琉真は。 仕舞いには床に麻貴を押し倒し、甘い味がするようなキスに我を忘れてのめり込んだ……。

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