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「こんなの知らない」
髪が乱れた麻貴は縋るように自分を見つめてくる琉真の双眸を真摯に見返した。
「こんなの、俺、わからない……」
あーあ。
あいつをゲス呼ばわりする身分じゃいられなくなった。
高校生に手を出した俺も相当だ。
それを後悔するどころか、まだまだ色々教えてやりたいなんて、参るよな。
「どうしたら……落ち着くの、これ」
射精したばかりだというのに隆々と勃ち上がったままのペニス。
白濁した精液に塗れた頂き。
割れ目にとろりと溜まった残滓。
「髪、ぐしゃぐしゃだ」
毎朝両親から代わる代わる隙なくセットされていたはずの琉真の髪も乱れていた。
目元に前髪がかかり、いつになく若雄めいた顔つきに拍車がかかっている。
彼の迸りを受け止めた片手をティッシュで素早く拭い、もう片方の手で、麻貴は琉真の髪の乱れを直そうとした。
「あれ、うまくいかないな。お前の髪型、複雑だもんな」
夏の夜気が抱えていた熱気とあられもない興奮で満遍なく火照っていた若雄の身は優しい手つきにさえ反応した。
「駄目」
すかさずキスしようとした唇を麻貴は掌で受け止めた。
「おいで」
不服そうに唇を噛み締めた琉真を立ち上がらせて導いた先は三人掛けのソファ。
座らされた琉真は足の間に腰を下ろしてきた麻貴に目を見開かせた。
どくん、どくん、全身が強く脈打ち始める。
はしたない気持ちで胸がいっぱいになる。
「麻貴さん……」
切羽詰まった呼び声に麻貴は……キュンキュンしてしまう。
ソファ上にあるだろうと思っていたクーラーのリモコンが見当たらず、しかし別の場所を探すのは瞬時に諦めて自身のネクタイをさらに緩めた。
硬いままのペニスの根元を加減して握りしめる。
控え目ながらもビクビクと打ち震える昂ぶりにおもむろに唇を添えた。
「っ」
輪郭を確かめるようになぞっていく。
付着していた白濁の雫を味見してみる。
「っ……ぅ……」
つい声を洩らした琉真を横目で見、次から次に込み上げてくる独占欲やら愛情に昂揚しつつ、頂きに到着する。
浅く咥えて鈴口に溜まっていた残滓を吸い上げる。
平らにした舌でゆっくり丁寧に愛撫する。
「あ、っ……っ……っ」
やばいな。
コイツこんな可愛かったっけ、琉真の奴。
俺まですごい興奮してきた。
こんなにムラムラするの久し振りかも……な。
麻貴は琉真の先端を深く頬張った。
喉を引き攣らせて目尻に涙まで溜めた彼を時折見つめ、心臓の裏側をこれでもかとくすぐられながら、誰も味わったことのない年下男子の昂ぶりを口内で満喫した。
性感帯が集中する場所を余すことなく可愛がられて、琉真は、またしても速やかに上り詰めていく。
唇奥の柔らかな粘膜に締めつけられ、舌端で念入りにしごかれて、切なげに呻吟した。
「っ、また……でる……麻貴さん……」
その限界っぽい声、堪らない。
もっと聞きたい。
もっとお前のこと深く感じたい、琉真。
「っっっっ」
根元まで深々と咥え込まれて琉真は手元にあったクッションを鷲掴みにした。
口内に閉じ込められたペニスをビクリと痙攣させ、そのまま、二度目とは思えない勢いぶりで射精した。
十代の迸りを全て呑み込んだ麻貴。
それでも尚張り詰めたままの昂ぶりに無性に体が疼いた。
「もっと……もっと……麻貴さん……」
飽き足りず素直に求めてくる琉真を心底甘やかしたくて堪らなくなった。
「すごい……俺の体じゃないみたい……こんな感覚……心臓、破裂しそう」
「ここ……か?」
麻貴が左胸に掌をあてがえば琉真はこっくり頷いた。
あーあ、ったく、可愛過ぎる。
こんな可愛いコに「待て」なんて命じられねーよな。
「なぁ、琉真」
キスをしたそうに擦り寄ってきた男子高校生と至近距離で見つめ合う。
「セックスしたい、麻貴さんと」
先に台詞をとられた麻貴は年上であるにも関わらず鮮やかなノックアウトまで追い込まれたのだった。
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