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結局、クーラーを入れるタイミングが失われて暑苦しいままのワンルーム。
「……うまくできない、それになんで……後ろ……?」
暑苦しい室内で下肢に服を引っ掛けて上半身は着衣したままの二人。
「細かいことはいいから……ほら、ココに……強くしてもいいから」
尻たぶに擦れるだけだったペニスに手を添えて導いてやろうとする麻貴。
ソファにうつ伏せて床に両膝を突いた彼の真後ろで汗を流す琉真。
……自分と同じモノが同じように勃起してるのを見て萎えないとも言いきれないから、な……。
「強くしたら、麻貴さん、痛くない……?」
麻貴は体だけじゃなく心も疼かせた。
脈打つペニスを自身の後孔に押しつけて肩越しに正直に求めた。
「痛くないし、俺は焦らされる方が嫌なんだよ、琉真……」
汗ばむ肌身にワイシャツを、額に前髪を張りつかせた麻貴に軽く睨まれた後、発情に従順に色気たっぷりに笑いかけられた。
琉真はワイシャツ下に両手を潜らせて重たげな熱に満ちる腰を掴んだ。
ぎり、と奥歯を噛み締め、痛いくらい勃起したペニスを後孔の内側へ捻じ込んでいった。
「ん……っどこまで……いれていいの……麻貴さん……」
「全部、琉真の、俺のナカに全部……」
「っ……あ……すごい……なにこれ……」
容赦ない肉圧に搾り上げられるような。
うねり動く内壁がねっとり絡みついてくる。
ペニスに隙間なく張りついてくる。
「すごい…………」
想像以上に悶える際どい締めつけに「すごい」を連発する琉真に、麻貴は、痺れた。
股間でピクピクと仰け反る年上ペニス。
あからさまに発情してじわじわ濡れていく。
「つ……突いて、琉真……」
「突くって……こう……?」
ぎこちない律動、不規則なリズム。
「は……あっ……っ……はあ……っ」
逆上せた息遣い。
腰に食い込む褐色の五指。
琉真の全てが愛しくて堪らない。
「すごい……きもちいい……腰、勝手に動く……」
かわいい、かわいすぎ、俺だけのにしたい。
誰が他の奴にくれてやるか。
「あ……? きつくなった……」
「も、もっと……突いて、激しく……奥まで……っ」
「……えろい、麻貴さん」
頭の天辺から爪先まで沸騰しそうな心地で琉真は動いた。
初セックスで滾りきった脳内。
汗の雫が止め処なく褐色の肌を滴り落ちていく。
麻貴はソファに爪を立てた。
緩んだ唇から下顎へ唾液を伝わらせて身震いした。
「あっ……あっ……琉真っ……そこ……そこ、イイ……っ」
初めて覚える快感でいっぱいいっぱいだったはずの琉真は忙しなく瞬きした。
「もっと強いのが、い……っもっと突いて……っ」
ワイシャツが密着してくっきり浮き出た肩甲骨。
ソファに深く縋りつく指。
自分の律動に従って揺れ動く引き締まった体。
足りない、足りない。
もっとちゃんと麻貴さんのこと感じたい……。
「えっ……?」
ようやくそれらしく動き始めたペニスが引き摺り抜かれたかと思えば。
次の瞬間、仰向けにされた麻貴は琉真と向かい合うことに。
「あ……俺……」
つい快楽にはまって陶然と喘いでいた麻貴は我に返った。
二人の狭間で屹立していたペニスを咄嗟に片手で覆い隠す。
「ごめ……何か、つい……」
横に視線を逸らして耳まで紅潮させた麻貴に琉真の喉がゴクリと鳴った。
「なんで謝るの」
急な解放に怯えていたペニスをヒクつく後孔に押し戻していく。
律動の再開に独りでに尻奥がキツくなり、ソファの上で窮屈そうに身悶えた年上の男に好きなだけ見惚れた。
「麻貴さんも、おれといっしょ……だから……うれしい……」
足首に引っ掛かっていた麻貴のスラックスと下着を蔑ろにすると両膝を掴んで左右に抉じ開けた。
動物みたいな息遣いを繰り返して無心になって腰を動かした。
「ああ……っ……っ……!」
麻貴は薄目がちに琉真を見上げた。
ゾク…………ッ
初めてのセックスに夢中になって腰を振る、高校生ながらも本能に忠実な危うげな眼差しで自分を見つめていた彼に……軽く達してしまった。
それでも貪欲に追い求める。
覆い隠していた手で発熱に漲るペニスを抱擁し、しごく。
「っ……麻貴、さ……」
自分の真下で汗だくになって我が身をヤラシクしごき、十歳以上も年上だという立場も忘れてセックスにのめり込む麻貴の姿に琉真は脳天を撃ち抜かれた。
一番奥まで突き立て、どうにかなりそうな絶頂感に一段とペニスを痙攣させ、荒々しく射精した。
「ん……っ……お前の、すごい……ッ」
「はぁっ、はぁっ……すごい……? 麻貴さんも俺とおんなじくらい感じてる……?」
「ッ……琉真……ン……っン……っ」
汗と唾液で濡れそぼった唇に唇を塞がれて。
恋しい息苦しさに溺れながら麻貴は琉真の後を追った……。
外から蝉の鳴き声が盛んに届く中、行事などが行われる冷暖房完備ホールで終了した一学期終業式。
「りゅーちん、欠伸しすぎ」
「……寝ないだけマシだろ」
教室に戻る途中、行き交う生徒で騒がしい廊下の片隅で琉真は仲のいい友達に群がられた。
「なーなー、明日の花火大会、昼にカラオケ行かね?」
「行こー行こー、りゅーちんも行こー」
「カラオケ、行かないし。花火もお前らとは行かない」
「「えーーーーっ」」
「……ごめん」
その日の夜。
「なんかぐろい」
わざわざ部屋を暗くし、シャワーを浴びてスッキリした麻貴を隣にし、見慣れないホラー映画に私服姿の琉真は首を傾げている。
「これ、おもしろいの」
「俺は面白いよ。ロメロの中ではコレが一番好きかな」
明日は休み、夕食はすでに済ませてのんびりしている麻貴からはシャンプーのいい香りがしていた。
正面のテレビでは血飛沫のオンパレード、立て続く断末魔。
琉真はポツンと言う。
「……なんか勃った」
呆気にとられた麻貴をその場で押し倒し、ホラー映画と風呂上がりの年上リーマンという混沌とした組み合わせに盛ってしまった男子高校生。
ちなみに今夜はお泊まりの予定だった。
なおかつ二人は昨晩冷めた牛丼を食べつつ「麻貴さんの彼氏になってもいい……?」「俺と付き合ってください、北川琉真君」と同時に告白して恋人同士になった。
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