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『いっしょの時間過ごせたらそれだけでいい』
あんなこと言われて有頂天になるの仕方ないだろ。
脂身いっぱいのサーロインステーキ、黙々とがっついてるかと思ったら、いきなり三泊したいって強請られて。
ろくに噛んでないヒレ丸呑みするところだったぞ。
平静ぶるのに苦労したんだからな。
『…………』
ぬか喜びさせたくなくて正直に「いっしょの時間」をつくれるかわからない、そう伝えたら、こどもみたいにショックに打ちのめされた顔なんかして。
結局丸呑みしたし、肉。
噎せないよう取り繕うの必死だったし。
年下でお利口な琉真に甘えたくなって仕方なかった。
年の差とか、プライドとか、そういうモン一切忘れて。
だから酔ったフリして誘ってみたけどやっぱお利口な琉真はスルーして放置プレイを決めやがったから。
だから。
「琉真……ちょーだい……おっきくてかたいお前の……奥まで捻じ込んで……?」
浴室に小刻みに紡がれる音。
肌が肌に荒々しくぶつかってはざわつく肉奥に熱い息遣いを刻みつけていく。
「麻貴さん……っ麻貴さん……っ」
タイル壁に両手を突いた麻貴。
ボクサーパンツをずり下ろして曝された双丘に深く食い込む褐色の五指。
やばい、琉真と立ちバックとか。
気ぃ抜いたら即イキしそう……だ。
「……麻貴さん、コレ……きつくない? 立ってるの……大丈夫?」
一度射精したにも関わらず硬度を保っているペニスで尻膣を突き上げ、病みつきになりそうな締めつけに夢中になりながらも琉真は案じた。
高校生の純な気遣いに麻貴は……搾り上げてしまう。
我知らず後孔にキュッと力を入れ、内部も肉圧上昇、いとおしい熱源を過激に抱擁してしまう。
「っ……すごぃ締まった……」
「琉真、お前さ……っこんなときまでお利口さんしなくても……いいから……」
「俺、別に……そんなつもりじゃ……」
肩に張りつく湿ったワイシャツ越しに、麻貴は、真後ろに迫る琉真を横目で仰ぎ見た。
「たまに……ケダモノみたいに壊す勢いで俺のこと攻めてくるお前……あれ、堪んないからな……?」
前髪がおりきって尖った目つきが少しばかり和らいでいた琉真はゴクリと喉を鳴らした。
が、しかし。
「……でも、今の麻貴さん酔ってるから……好き勝手したくない……」
ああもう、どこまでかわいいんだよ、お前って奴は。
酔ったフリしなきゃ甘えられない情けない年上をちょっとは慮ってくれよ。
帰ってきてドア開けたらお前が出迎えてくれんだぞ。
この不慣れな年甲斐もなく甘えたいモードを全開にするには酔ったフリするしかなかったんだよ。
まさかそれが裏目に出るとは、な。
「……もう酔ってないから」
「……ほんと……」
「泊まりきてくれてめちゃくちゃ嬉しかった」
「……ほんと……?」
「また、ステーキ、二人で食いにいこう……お前が分厚い肉食うの、なんかヤラシクて興奮する」
「それ……麻貴さんだって……」
視線を繋ぎ合わせた二人は大胆かつ露骨に下肢を重ねつつも、お互い、初心っぽい照れ笑いを浮かべた。
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