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第8話
朝食をすませ、一緒に洗い物をした後はリビングでゆっくりとする。
「昨日、黒斗との情事を交えながら書いてみたんだけど……、読んでみてくれないか?」
「わかりました」
ソファーの前に座り、座布団の上に正座をしながらノートパソコンを開く鷲。そしてソファーには黒斗が座りパソコンの画面を覗きこむ。
頬を赤く染め口元を覆い、はぁとため息をついた後、黒斗が読み終わりましたと鷲に告げる。
「どうだった?」
おかしい所は無いかと尋ねれば。
「鷲さん、ここの文章」
と、黒斗が指を差した箇所を読む。
<――保に触れられる度に芳親は嬌声をあげながら身を善がらせる。
あぁ、はやくこの男の全てをこの身に受け入れたい。
大きく反り立つ保のマラを咥え込んで激しく中を突かれたい。
そんな欲が芳親を支配する。>
「ん、ここの文章がおかしいのか?」
自分では特に問題ないと思うのだが、と、首を傾げて黒斗の言葉を待つ。
「いいえ、文章がおかしいのではなくて。全てを受け入れたいって、鷲さんも俺に対して思ってくれたのかなって」
照れながら頭をかく黒斗に、鷲は目を瞬 かせて、
「な、そんな事は……」
無いと言おうとして、口を開いたままかたまる。
今だ中に黒斗のモノが入っているかのような、そんな余韻の残る行為の証。
その身に埋め尽くされた快感が鷲を熱くさせて、ふるりと身体が震える。
「鷲さん?」
「なぁ、黒斗。そう思っていたと言ったら……?」
冗談だと返すのか、それとも喜んでもらえるのか。
どっちなんだと黒斗を真っ直ぐ見つめて答えを待つ。
「そうだとしたら、俺、すごく嬉しいです」
と、一息入れ。
「今までは鷲庵先生としてしか知らなかった貴方を、鷲さんとして知るうちに思いが募り恋をしてました」
下心があって鷲を抱いたのだと、狡い真似をして申し訳ないと頭を下げる。
ぎゅっと拳を握りしめ、真っ直ぐにこちらをみる黒斗の目が、不安を感じているのか心なしか揺れている。
きっと怒られると思っているのだろう。
だが、鷲の口元は綻んでいた。
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