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ふぇち★フェチ!-6
「どう、似合う?」
伊織を凝視している松島。
正確には伊織の足元にひたすら視線を注いでいる。
アウターを脱いだ伊織はブラックスキニージーンズの下に紛れもないピンヒールのパンプスを履いていた。
セレクトショップのショーウィンドウに堂々と飾られていた一品。
シックな黒、ヒールだけ艶やかな深紅色。
一目見た瞬間、無駄のないエレガントなシルエットに惹きつけられた。
「こんな衝動買い、初めてかも。彼女にプレゼントするからって、一番大きいの買ったんだけど」
「……」
「やっぱりちょっとキツイ」
「……」
「ちなみに三万円。セール対象外なんだって」
「……」
松島は相槌も打たずに伊織の足元に見入っている。
靴を履くため一端床に下りていた伊織はベッドの上にギシリと戻った。
頭側にクッションを立てかけて背中を預けると、プレゼント用として添えられていた赤いリボンを片足にくるくる巻きつける。
「後一時間くらいかな、明日って、バレンタインデーだよね」
解けないよう結んで、リボンが巻かれた片足を、ぽかーんとしている松島の方へ掲げた。
「ハイ、松島、チョコレートの代わり」
「……伊織きゅんってば、変態」
変態と言いながらも伊織のリボンつきハイヒール足から目が離せない松島。
これまでのフェチプレイでは伊織にストッキングを着用してもらっていた。
ニーハイ、網柄、黒、白、ベーシックなベージュ、伊織は文句一つ言わず足にスルスル纏い、シャープなラインのふくらはぎでまぁまぁ履きこなしていた。
細身の足に馴染んだスキニー。
華奢そうに見えて強かに芯の通った深紅のピンヒール。
踵から爪先にかけての急勾配に滲む色気。
ストッキングに包まれた足とはまた違う、足の甲だけがチラ見えしているという局部露出に松島は新鮮な興奮を覚えた。
空中で揺らめいていた足を両手で支えて頬擦りしてみる。
冷ややかなレザー、ふくらはぎにぴたりと密着したスキニーの肌触りを交互に確かめてみる。
「松島だって。俺の足に擦り寄ってる。変態」
ぴた、ぴた、ハイヒール足で頬をやんわり撫でられて、ゾク、ゾク、ゾク。
「……伊織きゅんってば、女王様」
まだ酔いが残っている松島は伊織のハイヒール足に舌を。
「こんなコーフンするプレゼント、俺、初めてもらったかも」
足の甲どころかパンプスまで。
伊織のハイヒール足を美味しそうに舐め出した。
スキニージーンズに覆われたふくらはぎを揉むように撫でながら、うっとりうっとり、それは夢中になった。
「伊織きゅんの足、おいひぃ」
自分のハイヒール足舐めに夢中になっている松島に釘付けになっている伊織。
挑発的に尖らされたポインテッドトゥの爪先ごと口に含もうとすれば、冷静さは失っておらず、すかさず松島の唇からパンプスを離した。
「それはダメ」
「はぁはぁ……このほっそいヒール、すンごいやらしい……ココは? 舐めてい?」
「そこもダメ」
「伊織ぃ~~」
衛生面を懸念してストップをかける伊織に未だアウターを羽織ったままの松島はこどもみたいに愚図った。
「一応ざっと拭きはしたけど。下についてたところはやめときなよ、松島」
「はぁはぁはぁはぁ」
ハイヒール足に飽きずに頬擦りしながら松島は半開きの双眸で伊織を見つめてきた。
「この足で股間踏まれたらきもちよさそ」
「踏まれたいの?」
「踏んで、伊織、踏んで?」
「二回も言った」
伊織はクッションに背中を預けたまま、ベッドの上で座り込んでいる松島の股間へハイヒール足をそっと延ばした。
ぐり、ぐり
「あーーーー……っ」
「あれ……松島、勃ってる?」
「勃ってる……めちゃくちゃ勃ってる」
「俺の足、舐めただけで、めちゃくちゃ勃ったの?」
ぐり、ぐり、ぐり、ぐり、ぐりぐりぐりぐり
「あっあっ、伊織っ、それっ、それぇ……っ」
ぐっと背中を丸めて肩をビクビクさせ、きもちよさそうに感じている松島に伊織も大いに発情を誘われる。
強かなピンヒールの先でゆっくり上下にデニム越しに勃起したペニスをなぞってやる。
「んっんっ、きもちいっ、このヒールやばぃっっ」
瞬く間に口内に唾液を溢れさせた松島は堪らなさそうに腰まで揺らして伊織におねだりを。
「伊織ぃ……俺、もぉ……伊織のちんぽ欲しい……俺んナカにちんぽちょーだい……?」
「ヨダレ出てるよ、松島」
「伊織ぃ~」
靴、松島のために買ってよかった。
伊織は心の中でこっそりガッツポーズした。
「うっ、うぅっ、ぅうぅぅっ、ぅぅぅぅっ!」
真っ裸でベッドに四つん這いになった松島のアナルにペニスを出し入れする、スキニーどころかパンプスも履いたままの伊織。
ローションを使用せずとも最奥まで迎え入れるようになった尻孔を、緩急をつけて不規則にじっくり突き上げる。
「ン、松島のナカ、いつもより熱い……」
両手で腰を掴んで小まめにリズムを変えてはピストンしてくる伊織の上擦った声を聞き、松島は、だらしのない蕩け顔ながらも心の中でこっそりガッツポーズした。
今日の相手全員、伊織のこと気に入ってたの、確実だけど。
どんだけ狙っても伊織は俺に夢中なんだよねー。
女に興味ない伊織は俺のモンなんだよなー。
「あ、いきそう……そろそろいってもいい、松島……?」
「俺も……っ俺もいくっ、伊織ぃ……!」
いつの間に日付は変わってバレンタインデー。
魅惑のハイヒールにもたらされた甘い一夜に溶け合う二人なのだった。
end
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