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好き?

「あの会長…」 「あ、ごめん、これ体育館まで運んで貰える?」 「あ、はい……」 1時間後… 「スミマセン、会長…」 「あー、ごめんだけど委員長にお昼前にここ来いって伝えてくれないかな?」 「……わかりました…」 30分後… 「会ちょ…」 「ほんとゴメン…、こちらの方お手洗いに案内して貰える?」 「あ…、どうぞこちらです……」 そして現在……… 「なんっでだよッ!!!」 「!?急になんだよ!五月蝿いんだけど!?」 「あたッ」 仕事が片付かず、昼飯を食べながら一緒に仕事をしていた文員の委員長が俺を資料ではたいた。 「喋ってねぇでさっさ食ってこれやれよ。」 「ッス……」 怒られてしまった… 仕方ないので口に食べ物を詰め込んで資料をまとめていく。 …しかしまいったな……。 紙ひこうきのことを訊くどころか話すことすらままならない。 さすが生徒会……凄まじい忙しさだ。 「…で、何が なんでだよ なんだ?」 「?ふぁんふぉほふぉぽっふふぁ?」 「???なんだって?」 「ッん、なんのことッスか?」 「はぁ…さっきお前が叫んでたんだろうが。」 「あぁ…。や…、なんか会長と話す暇ないなって思っただけです……」 「そりゃそうだろうよ。アイツは生徒会長様だぜ?仕事はあるし、人気者だからあっちこっちから引っ張りだこだし。もうあそこまでいくと最早アイドルだな。」 「…まぁそうなんですけど……」 ……なんか…紙ひこうきのこと訊く訊かないにしても、話せないのはちょっと嫌だな…… 思わず手が止まり持っていた資料を見つめる。 見ているだけで内容なんて一切頭に入ってこないのだが。 「…………」 「……………」 「……なにお前…、アイツのこと好きなん?」 「……………は?」 じっと委員長に目を見つめられる。 好き…?誰が…?誰を…??? 「だから、お前が、会長を。…ちげぇの?」 俺が?会長を??好き??? 「な、何言って……そもそも俺男ですよ……?」 「?知ってるけど。」 「知ってるけどって……」 「いいんじゃない?別に男同士でも。」 「…………」 「なに?好きなんだろ?」 「……いや…って言うか……」 「て言うか?」 ……そりゃ会長のことは尊敬しているし好きだけど…恋愛対象としての好きかどうかなんて考えたこともなかった… 好き……なのか………? 「………まぁいいや。取り合えず応援ぐらいはしてやるよ。」 「………まだ好きなんて言ってません。」 「じゃあ好きじゃないの?」 「………」 「フッ…知ってるか?無言は時に言葉より雄弁なんだぜ?」 「……ッチ、うるさいですよ委員長、さっさと仕事してください。」 「あっ!お前今舌打ちしたな!?!?敬語使えよ!!!」 「手が止まってますよ、さっさと仕事しろ下さい。」 「もうそれ敬語じゃないからな!?そーかそーか、お前がそう来るんなら俺もそれなりの態度をとらせて貰うぞ。」 「何言ってんすか、元からアンタ態度でかいでしょう。」 「は~~、もういい。ばらしてやる。会長にお前が会長のこと好きだって言ってやる。」 「だからまだ好きだなんて一言も言ってないでしょうが!!!」 「まだってことはこれからそうなる可能性もあるんだな?」 「それはッ…」 「よーっし、言質取ったぞ?確かにお前はまだって言ったかんな?」 「~~~ッ、ほんッと性格悪いですよ!?」 「なんだと!?」 「なんですか!?」 バンッ!!!! 突然響いた音に、しばらく言い合っていた声が思わず止まる。 副委員長の方を見なくてもわかる。なんともどす黒いオーラが流れていた。 「…二人とも……」 委員長と俺の肩が ビクリッ と震えた。 「…おしゃべりしてる暇があったら手を動かそうか…?」 「「す、すみません……」」 それから昼休み終了まで、俺たち二人の仕事の捗り様と言ったらもう…。 言わずもがなである。

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