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花火。

好き…好き……すき? 文化祭 最終日の後夜祭。 思ったよりも忙しかったがなんとか無事文化祭も終わりを迎えようとしていた。 あれから1度もまともに会長と話せてないけど… 「あ!いたいた、おーい!!」 「あ、会長…」 俺は1日中駆けずり回り疲れきってボケ~と花火を見上げていたら、向こうから会長と委員長が手を振りながら歩いてきた。 「三日間お疲れ様~、後夜祭楽しんでる?」 「会長もお疲れ様です。…まぁそれなりに。」 花火しか見てないけど。 「お前友達居なさそうだもんな。」 「委員長マジ黙っててくれません?」 「ねぇ俺の扱い酷くない?先輩だよ?俺先輩だよ?お疲れ様は?」 「え、疲れてるんですか?ずっと遊んでたのに?」 「遊んでねぇよ!!」 「……なんか二人 仲良くなってない?」 委員長と ああだ こうだ言い合っていたら、会長がそう言って唇を尖らせた。 えっナニコレ…、拗ねてる…?もしかして拗ねてる?? か、かわっ……じゃない、いかんいかん。落ち着け。 「お前やめろよ、こんなやつと仲良くなんてないからな?」 委員長が俺を指さしてきたので俺はそれを叩き落とした。 いてっと言う委員長を睨んで続ける。 「…こっちだって願い下げですよ。早くどっか行って下さい。」 俺はしっしっと手で委員長を追い払う素振りをした。 「どっかいけ!?失礼なやつだな!止めろ払うな!!」 「…やっぱり仲良しじゃん……」 「ちげぇよ!!」 「ちょ、違いますって!!」 同時に声を出した委員長と互いに嫌な顔をして見つめ合う。こっち見んな。 それを見ていた会長が更に唇を尖らせた。 「あの、会長…?」 声を掛けるとプイッとそっぽを向かれてしまった。 え、なんで……? 「……そいつとばっかり」 「?」 「俺とももっと、仲良くしてよ……」 キュンッ… ずるい…と呟く会長がとてつもなく心臓に悪い。 最近会長といるとドキドキさせられっぱなしだ。 俺、この人に殺されるかも… 「はぁ…まったく」 もう俺行くわ。そう言うと委員長は俺と会長をおいてどこかへ行ってしまった。 なんか「イチャイチャしやがって…」って聞こえた気がするけど、俺としては一切そんなことしていないので聞かなかったことにする。 会長と横に並んで次々と上がる花火を見上げる。 「………」 「………」 「……会長…?」 会長は難だか神妙な面持ちで花火を見上げていた。 「……ねぇ、」 「?…なんすか?」 「……ライン…追加してもいい?」 「へ?」 「……ダメ?」 突然のことにアホみたいな声が出てしまった。 会長が首を傾げて俺を見ている。 「え、いいえ!全然!!えっ、と言うかむしろ俺と交換していいんですか?」 「何で?悪用でもするの?」 「いや…しないですけど……」 「じゃあ何の問題もないでしょ?」 「は、はぁ…」 「文員のグループ入ってたよね?…これ?」 「あ、はい、」 「…よし、追加できた~!!」 スマホを確認すると会長らしきアカウントから よろしくね!! と、可愛らしい猫のスタンプと一緒にコメントが来ていた。 追加してよろしくお願いします!と俺もけたたましく動くスタンプをつけて返した。 「ッフ、なにこのスタンプ……ッ、フフッ…」 「面白くないッスか?会長にもプレゼントしましょうか?」 「ッ…、ありがとう…。でも、お、俺は要らないかな……」 「そっすか?」 肩を震わせて笑う会長。 結構使い勝手良いんだけどな… 「ッ、はぁ……でもよかった…。」 「何がですか?」 「ん~?ライン断られなくて良かったなーって。」 「えぇ!?断るわけないじゃないですか!?」 「そう?俺嫌われてない?」 「そんなわけないですよ!?!?」 「じゃあ俺のこと……すき?」 「もちろん!!大好きです!!!あ…、」 ヤバイ、勢い余って大好きだなんて口走ってしまった。 引かれてないだろうか? 焦ってどうしよう、どうしよう…と頭の中をそれだけが回る。 …恐る恐る会長の様子を伺ってみた。 驚いた顔でもしているかと思ったら、会長の顔を見て逆にこっちが驚いてしまった。 「ッ……」 それはそれは嬉しそうに、こっちを見て綺麗な笑みを浮かべていた。 少しだけ耳が赤い気もする。 「ふふっ……ありがとう……」 「……ッス…」 俺はそれ以上何も言えなかった。 俺も今耳赤いかも…。 そのあとは俺も会長も何も言わずに、花火が終わるまで二人並んでずっと空を見上げていた。

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