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第8話

 ジョックストラップと呼ばれる運動選手用に特化したそのストラップビキニは、前も後ろも個性的で、危ういぐらい生地が少ない。しかも、後ろから見るとストラップしかないOバックの状態で、ジムの着がえの際、上城がそれをつけているのを初めて見た時は、ビックリして鼻血が出そうになった。 「しかし派手だなー」  袋からだして目の前に掲げてみる。今まで陽向には挑戦したことのないデザインの下着だ。 「ちょっと、どんな感じか試着してみよっかな」  どうせ服を脱ぐのだし、クローゼットには細長い鏡もついている。似合わなかったらしまっておこう。そう考えて、全裸になると新しいビキニをはいてみた。  鏡の前に立って、前や後ろをうつしてみる。 「ひやー。恥ずかしい」  隠す部分が少なすぎだ。しかも、陽向がはくとカッコいいというより尻にリボン紐を巻いたゆるキャラっぽく見える。 「やっぱり、礎さんみたいにはならないもんだな」  ファイティングポーズを取ってみるも、いまいち決まらない。 「俺がなんだって?」 「え」  声がして振り返ると、そこに風呂あがりの上城が立っていた。下にスエットをはいただけの姿で、ポーズを取る陽向を口元に拳をあてて笑いをこらえるように眺めている。 「も、礎さっ」  顔に火がついたように、ボッと真っ赤になった。 「い、いつからそこにっ」 「さっきから。てか、気に入ってくれたんだ」 「え、ええ。あ、いや」  しどろもどろで前を隠そうと後ろを向いて、それじゃあもっと恥ずかしくなってしまうと気がついてウロウロしてしまう。 「似合ってるよ」 「いやそんな」  コソコソと、逃げるようにベッドに中にもぐりこんだ。 「陽向、もっと見せてくれよ」   上城がベッドまでやってくる。 「ダメです。もうおしまいです」  陽向は上がけをひっかぶって顔を隠した。 「脱ぎます。ホント勘弁してください。恥ずかしい……」  ひとりで遊んでいたところを見られてしまうなんて。 「脱ぐなよ。脱がせるのは、俺だからな」  嬉しそうに布団をはがされて、下のほうで赤い顔で丸まっているのを発見された。 「めちゃくちゃ似合ってるぞ」 「似合ってませんよぉ」 「しかしジムで他の男には見せたくないな」  こんなエロい姿、と呟かれて陽向はさらに顔を赤くした。 「すぐに襲いたくなる」  上城は上がけを放りだすと、陽向の上におおいかぶさってきた。体温の高い、大きな手で尻を包まれる。

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