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もう居ても立ってもいられず辛抱堪らん状態になった浅海はまひるにキスをした。
久し振りに味わう柔らかく瑞々しい天然イチゴ色の唇にたちまち夢中になる。
顎に片手を添え、もう片方の手で後頭部を支え、余すことなくイタダキマスした。
「っ……っ……は、ぁっ……っ……浅海さん……」
キスの延長で頬擦りし、華奢な体を優しく抱きしめた。
「まひる君に嫉妬してもらえて嬉しい」
いつになく熱く感じられる浅海の体温。
まひるは、遠慮がちに、彼の背中に両手を添えた。
「……ヤキモチなんて、めんどくさくないですか……?」
「まさか、とんでもない、そんなことあるわけない」
「……久し振りに浅海さんと会えて、ついあんな大声出して、飛びついちゃって……オレ、みっともなかったです」
「まひる君、そんなわけないよ」
抱擁に一段と力がこもって、まひるの黒目がちな双眸は大きく見張られた。
「君の本音が聞けて嬉しい」
自分より十歳も年上の眼鏡リーマンに耳元で囁かれて耳たぶの隅々まで熱せられる。
甘ったるいハグに全身が溶け落ちそうになる。
「……浅海さん……」
また頬擦りされて、くすぐったくて、まひるは首を窄めて笑った。
「今日、いっぱい飲んだんですか……?」
「え、どうして?」
「だって、こんな風に……頬擦りとか……初めてされるから」
「……」
「タバコやお酒の匂いも……」
浅海はまひるを覗き込んだ。
サラサラした手触りの頬を上気させている可憐な男子高校生に謝った。
「お酒くさくてごめんね」
明日は休みの土曜日だし、適度なアルコール摂取で心身共に舞い上がっているし、何よりもまひるとの逢瀬に浅海のテンションは上がりっぱなしだった。
お膝の上に座らされたまひるは、言おうかどうしようか迷って、ちょっと俯いて浅海から視線を逸らすと、口を開いた。
「いつもはすごくしっかりしてるけど、酔ってる浅海さん、ふわふわしてて、とてもあったかくて……どきどきします」
あ、どうしよう。
ちょっと、今、まひる君のこと抱き潰したくて仕方ない。
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