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心では会いたいと叫びつつも残業を終えれば帰りの電車でウトウト居眠り、一人住まいの1LDKに到着すれば、食事、風呂、最低限の営みを済ませて、ばたんきゅー、全速力でやってくる朝。
メールするのもままならない。
時折まひるから送られてくるお疲れ様メールに返信するので精一杯だった。
そんなまひるからのメールも途切れて、いよいよこれはやばいんじゃないかと案じつつ、教育関連の大学事務システムの性能チェックで不具合が出ないよう祈る日々にあった浅海だが。
金曜夜、やはり残業を背負い込んだものの、いつもより断然早い七時前後に退社できそうな気配にテンションがじわじわ上がってきた。
まひる君に電話して食事に誘ってみようか。
もう家で晩ごはんを食べてるかもしれないけれど。
うん、それでもいい、メールでも嬉しいけれど「お疲れ様」って言葉で聞きたい。
レッドブ●以上の俺のエネルギー回復が見込める一言がほしい、
「今日、早く上がれそうだし、久し振りに飲みでも行くか」
金曜夜、断り難いチームリーダーのお誘いで浅海は飲み会へ。
これで割り勘だったら一生呪ってやる、なんて最初は少々荒んだ気持ちでいたが、春めいてきた夜に飲むお酒や旬の料理は格別においしく、ちゃんと奢ってもらい、和やかな気持ちで家路につくことができた。
もうすぐ十時か。
まひる君、もう寝ちゃっただろうか。
いや、さすがにまだ起きてるか、電車降りたら電話してみようかな。
ウトウトどころか五分ほど爆睡し、電車を降りた浅海は、生温い夜に眠気を引き摺って我が家を目指した。
まだ人の行き来がある表通り、明るいファミレス前を通り過ぎた辺りで、スマホを取り出す。
出てくれるだろうかと、まひるの連絡先を選び、呼び出し音を聞いていたら。
「浅海さん!!」
え。
いつの間にこんな鮮明になったんだろう、アップデートで通話の音声がここまではっきり聞こえるようになるなんて、
「あっ……浅海さんっ」
ぎゅっ
驚いて振り返れば、最初に出会ったときのように、まひるが浅海の片腕に両手でもってしがみついていた。
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