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3-8
「まひる君」
浅海とまひるはまだソファにいた。
ただし、位置はまたしても違っており、眼鏡リーマンが仰向けになった男子高校生に覆い被さる構図になっていた。
まひるは体重をかけないよう真上に迫る浅海から僅かに視線を逸らしている。
トイレ避難を引き留めはしたものの、この先どうしたらいいのかわからず、お酒とタバコの匂いがする浅海の真下で頑なに強張っていた。
こんな生殺しの状態を長引かせるわけにもいかない。
浅海はヒかせたらどうしようと懸念しながらも、意を決して、まひるの手をとった。
「……あ……」
真夜中にあからさまに目覚めた我が身へ少女じみた柔らかな手を導く。
「まひる君に触れてすごく興奮してる」
顔中まっかっかにして、益々強張ったまひるの初々しい反応に……さらに興奮してしまう。
「ヒいてる……?」
「っ、ううん、ヒいてなんか……ただ……オレのより、なんか、すごく……」
そんなこと言われたら興奮し過ぎて鼻血が出そうだ。
「……直接触ってもらってもいい?」
黒目がちな双眸を縁取る繊細な睫毛が慌ただしく震えた。
「あ、あの、えっと、浅海さん、オレ、その」
明らかに恥ずかしがって周章するまひるに浅海は矢継ぎ早に次の言葉を。
「君に触ってほしい」
まひるは初めて浅海に触れた。
昂ぶる彼の熱を掌に感じ取った。
年上の男達に性的な対象として据えられ、嫌悪感、吐き気を覚えることなど何度だってあった。
恐怖で雁字搦めになって涙したことも。
でも浅海だけは。
「はぁ……」
ベルトを緩め、ホックを外し、ファスナーを下ろし切って下着の内側まで浅海はまひるの手を招き入れた。
変形し、芯をもって、熱く硬く脈動する屹立。
浅海の感触を直にしてまひるの鼓動は加速した。
時に耳たぶを掠める吐息に背筋がゾクリと粟立った。
浅海の興奮がこちらにまで伝染するような。
……浅海さんに触れてたら、何だかすごく、体も心もムズムズしてくる……。
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