24 / 32

4-6

浅海の口内に初めて招かれたまひるはベッドの上で貧弱な喉骨を引き攣らせた。 「あっ……っ……浅海さ、ん……っ」 カーディガンは脱げかけ、シャツのボタンは全て外されて乾いた空気に曝された肌。 先ほどまで甲斐甲斐しく浅海に可愛がられていた胸の突起はどちらも淡く濡れ、色味が増し、ぷっくりと張り詰めて。 蔑ろにされた下肢の着衣。 両足を左右に開かれたかと思えば何の迷いもない唇に捕らわれた。 「んっ、ぅ、ぅっ……ん……っ」 生温く湿った粘膜に包み込まれ、腰の辺りが一段とゾクゾクし、まひるは溢れ出そうになる声を慌てて手の甲で塞き止めた。 恐る恐る視線を向けてみれば。 自分の熱源を咥え込んだ浅海が視界に写り込んだ。 うそ、うそ、うそ。 浅海さんの口に、オレの、あんなに食べられて……。 「っ、っ、っ……待っ、浅海さん、だめ、舐めちゃだめ……っ」 昂ぶる隆起をぺろりと舐め上げられてまひるはあたふた拒んだ。 「っ、ゃっ……吸っちゃだめ……それもだめです……」 ちゅぅっと、軽めに吸い上げられるとぶわりと発汗し、また浅海を拒む。 「こういうの、無理? 気持ち悪い……?」 下半身の方から聞こえてきた問いかけに、まひるは、薄暗い天井の隅っこに視線を縫いつけて答えた。 「あの、浅海さんこそ、こんなこと……むりしないでください……」 浅海はピクリと片眉を吊り上げた。 聞き捨てならない台詞にちょっとばっかし胸の内を逆立て、今度はやや強めに吸い上げた。 「っ、っ、っ……浅海さん……!」 「まぁ、こんなこと、確かに初めてではあるけれど。実際、同性相手にって、今まで想像だってしたことなかったし」 「だ、だから……もう……」 「うん、だから。こんなこと、特別なまひる君限定でしかやらない」 「あっ、っ、浅海さ……っ……ちょっと、深い、です、それ……っ……あ、ぁ、待って……そこ、は、ちょっと……っ……っ……っ!」 浅海の唇に深々と招き入れられてまひるは堪らず弓なりに胸を反らした。 括れの部分を舌先でゆっくりなぞられる。 裏側まで、唾液を塗りつけるように、丁寧に。 どうしよう。 こんなのもう我慢できない。 「浅海さんっ……オレ、もうだめ……っ……も、ぉ、でちゃいます……」 切羽詰まって捩れた声に浅海は鼓膜まで熱せられたような気がした。 「ぁっっっ」 色鮮やかな頂きに吸いつかれて黒目がちな双眸は一気に隈なく濡れそぼった。 ショートソックスに包まれた爪先を強張らせ、お腹の底をざわつかせ、浅海の唇奥であっという間に上り詰める。 もどかしげに爆ぜた熱源。 悶絶するように幾度か痙攣し、熱飛沫をびゅくりと弾いた。 「はぁっ、っ、はぁ……はぁっ……っ……ン……」 「まひる君」 汗ばむ胸を大きく上下させ、絶頂の余韻でピクピク震える太腿を閉じることもままならず、まひるはベッドでぐったりしていた。 七分シャツにチノパン、裸足でいた浅海はベッドに四つん這いになると、まひるの額にキスを落とした。 「……どうしておでこなんですか……?」 「今、口にしたら自分の味がして嫌かなって思って」 まだ呼吸が落ち着かずに息を切らしていたまひるは、一瞬きょとん、そして唖然とした。 「浅海さん……もしかして飲んじゃったんですか……?」 「うん」 「うん、って……ぅぅ……お腹壊しちゃったらどうするんですか……」 浅海は笑った。 上気して血色がよくなっている頬をいとおしげにくすぐる。 「汗かいたね。シャワー浴びようかな」 「……また一人でお風呂ですか」 「ううん」 「……?……」 「まひる君も一緒に入ろう」 浅海のお誘いに、さらにどっと汗をかいたまひるなのだった。

ともだちにシェアしよう!