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二月中旬、天気のいい土曜日に浅海はまひるを誘って映画を見に行った。
「すごく面白かったです」
見終わった後、シネコンが入っている駅ビルのグルメフロア一角でコーヒー休憩、まひるは期間限定の桜色したフラペチーノを美味しそうに飲みながら感想を述べる。
向かい側に座った浅海は明らかに甘そうなドリンクが似合う高二男子を微笑ましそうに眺めていた。
ふんだんにのったホイップクリームをスプーンに掬い、一口ずつ、じっくり吟味している。
ケーブル編みニットの袖口から覗く指先をストローに添える仕草が何だかやたら女子めいていて。
妙に色づいて見える天然イチゴ色の唇がこれまた魅力的で……。
「浅海さん」
やばい、見過ぎた。
「これ、気になります? 味見してみますか?」
笑顔で差し出されたドリンクを受け取った浅海は、一口飲んで、想像通りの激甘ぶりに一発で胸やけを覚えた。
「春っぽい味ですよね」
まひる君は適度な甘さ、してるよな……。
胸やけしない、一向に飽きない、ずっと味わっていたい甘味だよな……。
どうにも一足先に春ボケしている浅海なのであった。
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