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雛木君がハマった、黒くて細長いアレ ~反省&実践編 6/6~

その時の雛木の様子を映像に残しておけばよかったと、工藤は瞬時に後悔した。 雛木は驚きに目を見張ったかと思うと、切なげに眉根を寄せ、そして少しの逡巡も見せずに開口ギャグの円柱から舌を差し出したのだ。 ちんぐり返しにされた不自由な体勢に抗うように、頭を持ち上げ、全力で自らの性器に顔を近づけている。 その素直さが、たまらなかった。 工藤は誘われるように雛木の尻に顔を近づけた。そして、生き物のように大きく蠕動するアヌスに、一気に舌を差し込んだ。 「やあああああっ!!!!」 これまで聞いたことのない程の激しい悲鳴が、雛木の口から迸った。 「やっ!やぁっ!やあぁぁっ!!!」 キスすらしたことのない主人の舌が、洗ってもいないアヌスに差し込まれたのだ。雛木の恐慌は当然だった。 だが工藤は抵抗を許さず、雛木の両足を地面に縫い止めたまま、天井に向かって無防備に曝け出された尻の穴に何度も舌を突き込んだ。 雛木の肌には一切触れず、不浄の場所だけを舌で犯した。 「やあああっ!やらああぁっ!くろぉあんっ!くろぉあんっ!らめれふっ、らめええぇぇっ」 ギャグに開口を強制されたまま狂乱する雛木はしかし、その顔面に濁った先走りをだらだらと零していた。 工藤は何度も抉り、舌先に力を込めて筋肉の輪をぐるりと押し広げた。雛木の体がビクンと大きく揺れ、射精直前の緊張を見せる。 工藤は尻から顔を離すと、一言、 「いきなさい」 と掠れた声を絞り出した。 直後に、革の乗馬鞭の小さな先端を、唾液で光るほぐれた雛木のアヌスに叩き付ける。そのまま内側まで鞭先が飲み込まれてしまうほどに、強く、惨く。 「ああああーっ!!!」 開口ギャグの円柱から、絶頂の悲鳴が迸った。一瞬にして、溜まりに溜まった白濁がペニスの先端から飛び出したのが見えた。 その粘液が雛木の顔面にたどり着くのを見届ける間もなく、貫かれたいと求めて広がるアヌスに向けて、何度も何度も鞭を振り下ろす。 「ああああーっ!ああああーっ!」 声を限りに悲鳴を上げながら、雛木は自らの顔面に向けて精液を断続的に吐き出し続けた。 絶頂に惑乱しながらも、命令は覚えているのか、何とか舌を伸ばして自らのペニスの先端から飛んでくる粘った白い液を口の中に受け止めている。 熱く、濃く、生臭く、そしてどこか懐かしいような味が、雛木の口の中いっぱいに広がった。 しかし、支えのないペニスは打たれる衝撃で揺れて的を定められず、全てを口では受け止めきれずに、白い粘液が目元や鼻や頬を汚す。 顔中を、特に口の中とその周りを白濁液でドロドロにしながら、雛木は工藤に与えられる痛みに酔った。 玉が空っぽになるまで吐き出した頃、開口ギャグの蓋が再び閉じられた。 雛木の口の中には、自分が放った粘液がたっぷりと溜まっている。その状態のまま、足枷ごと金属棒を外され、足がようやく本来あるべき位置へと戻される。 だが、苦しい体制から解放された安堵を感じる間もなく、髪の毛を鷲掴みにして上体を起こされた。 痛みと乱暴な扱いに身を竦ませるが、雛木は促されるままに床にぺたりと座り、上目遣いに主人を見上げる。 「零してはいけませんよ」 そう言った彼の主人は、もう一度開口ギャグの蓋を開けてくれた。 口に空気が入り、呼吸が楽になる。 だが、零さないようにするには軽く上を向くしかない。 ちょうど工藤の見下ろす視線を口の中で受けとめることになってしまい、雛木は恥ずかしげに舌を縮こまらせた。 工藤は雛木がまだ口の中に粘液を溜めていることを目で確認すると、ギャグの円柱に鞭先を差し込む。そして口の中に溜まった精液を、雛木がえづくほどに掻き混ぜた。 たまらずにギャグから唾液交じりの精液を漏らしてしまう度に、放出し切って萎えたペニスを革靴の底でぐっと踏みつけられる。 雛木は痛みと苦しさに顔を歪めながら、ギャグから漏れそうになる液体を舌を動かして必死に舐め取った。 自身の出した物への忌避感が薄れるまでしつこく鞭先で口の中を捏ねてから、工藤はようやく鞭先を抜き去る。 とろりと糸を引いて白濁液が引き出され、雛木の顎を更に汚した。 「飲み込みなさい」 雛木は苦しさと感動で目を潤ませた。 自分自身のザーメンを飲むことに、生理的な拒否感はまだ根深く残っている。 工藤と出会う前に何人もの相手の物を口で受け、時に飲み下しもしたが、自分自身のものとなると突然に理屈ではない拒否感を覚えるのだ。 もしかすると、排泄物に近いと本能的に認識しているのかもしれない。 だが打たれる痛みや強い快感を受け入れるだけではなく、人間としての尊厳を無視するような責めにも喜んで応えることこそが、工藤の奴隷として正しい有り方なのだろう。 そう思えば、雛木にとってこの命令は喜ぶべきものであり、同時に工藤にも楽しんでもらえるものだった。従えないはずがない。 雛木は迷わず喉を鳴らして飲み込もうとした。だが、フェラチオの最後に勢いで飲むならともかく、一旦口の中に溜めてしまうと、えぐみの強い粘液は途端に飲み込みづらくなる。 しかも開口ギャグで顎の動きを封じられているため、なかなかうまく喉へ運べない。舌の上に乗っていることを意識してしまうと、途端に味がはっきり感じられて、軽く吐き気さえ込み上げてきた。 しかし、雛木は涙目になりながらも、白濁を舌に絡ませた。 自身の出したものを飲み込もうと苦戦する雛木はとても哀れだったが、主人の命令に応えようと努力する様は健気で、どこか清純ささえ感じられた。 あなたの奴隷になりたいのだと、一心に願っていることが伝わってくる。その姿を見つめる工藤の胸には、雛木を自分の物にして常に愛でていたいという想いがはっきりと芽生えていた。 毎日毎晩、二十四時間ずっと、射精はもちろん排泄まで管理してやりたい。側にいる時は常に足元に這わせ、愛しさが込み上げる度に鞭打って鳴かせてやりたい。 そして、かつて可愛い奴隷達にしていたように、乳首や性器をピアスで飾り、所有の印をタトゥーで刻みたい。 それはとても危険な欲望だ。束縛などという言葉では到底足りない。雛木の生活を一変させ、人生を狂わせてしまう。 工藤は込み上げる欲望を、意志の力でぐっと押さえつけた。 だがそんな工藤をよそに、彼の奴隷は口を開けたまま粘液を飲み込むコツを掴んだらしい。喉を動かすごとに「ぅんっ」と可愛らしい鼻声を上げ、確実に少量ずつ飲み込んでいく。 そして、おそらくあと一息で飲み干せるというところまでくると、白濁を絡めた舌を開口ギャグの円柱から突き出して見せた。 まるで、欲望を抑えようとする工藤の努力を嘲笑うかのように。 目尻を下げ、見てくださいとばかりに舌をちろちろと動かしている。 工藤が軽く頷いてやると、さっと舌をひっこめて、ごくんと喉を鳴らした。 そして、綺麗になった舌を再びギャグから突き出す。 嬉しそうに、少し得意げに目を細めて。 工藤の胸に、感動とさえ呼べそうなほどの欲望が渦を巻いた。 「いい子ですね。あなたは本当に、いい子です。 さぁ、これも綺麗にしてください」 そう言って、白濁まみれの乗馬鞭の先端を雛木の顔の前に差し出す。 すると雛木は一生懸命舌を伸ばし、工藤からよく見えるようにゆっくりと、丁寧に、大胆に、自らの欲望の残滓を舐め取っていった。 全裸で床に座り込み、後ろ手に縛られ、開口ギャグをつけられた屈辱的な格好で、嬉しげに精液を舐めるその姿は、まさに奴隷そのものだ。 まともな人間が見れば吐き気を催しかねない光景だったが、工藤はとても心安らかに、満足感と共に見守った。 嗜虐心と性的興奮が分かちがたく結びついている自分は、唾棄すべき存在だととっくに自覚している。 けれど今、暴力と悲鳴と精液の匂いが色濃く立ち込めたこの狭い部屋の中は、自分にとって、そしておそらく雛木にとっても、どんな楽園にも代え難い満ち足りた空間だった。 雛木が、鞭から丹念に舐め取った自らの精液を、命じられるまでもなくごくりと飲み込む。 そして工藤を見上げ、恥ずかしそうに、だが幸せそうににこりと微笑んだ。 「……アメリカには、結婚式へ参列するために行っていたのです。かつて飼っていた奴隷から、どうしても列席して欲しいと招待を受けました」 急に話し出した工藤を見上げる雛木の目は、驚いたように丸くなっていた。 そんな素直な反応を返す奴隷の頭を、立ったままそっと撫でてやる。 「彼は、とても幸せそうでした。その笑顔は、私の調教を受けた奴隷でも幸せになれるのだと物語っていて、心の底から嬉しかった。彼もそれを教えたくて、私を強引に誘ってくれたのでしょう。昔から他人の心の機微に聡い、優しい子でしたから」 頭を撫でられる雛木は大人しくしていたが、眉間がほんの少し寄っている。他に奴隷を飼っていても構わないと言ったくせに、その舌の根も乾かない内に嫉妬心が湧いているらしい。 その素直さが愛らしくて、工藤の目尻に皺が寄る。 「私の奴隷は、今はあなただけですよ。ただ、彼との再会によって色々考えさせられたのは事実です。己の罪とも改めて向き合うことになり、かなりナーバスになったせいで、あなたへ長期間連絡できずにいました。不安にさせてしまい、申し訳ありませんでした」 工藤は心から謝罪し、しゃがんで雛木と目線の高さを合わせた。 見上げていた首が真っ直ぐになると、開口を強制されている雛木の口から、たらたらと唾液が溢れてしまう。 縛られているせいでそれを拭うこともできずにいる無防備な奴隷に代わって、工藤は指でその唾液を拭ってやった。 だが、その濡れた指を差し出すと、雛木は逡巡なく舌を突き出し、舐め清めてくれた。 主人でいることを赦されている。 そのことに、工藤がどれほど安堵を覚えているか、雛木は知らないだろう。 「正直に言います。私はあなたを本格的に調教することを恐れています。愛しいからこそ、不幸にするのが怖い。けれど、その調教こそが、お互いを満たし幸福にする唯一の手段だということも、今夜改めて実感しました。 どこまでいけるか、どこかで止められるかはわかりませんが、もう少し踏み込んでみましょう」 雛木の開口ギャグを外し、強張った唇の端を親指で押して解してやる。 雛木はされるがままに、うっとりと目を閉じた。 そしてひとしきりマッサージに身を委ねた後、目を開き、とろりと笑んだ。 「俺は、あなたの奴隷である限り、不幸にはなりえません。俺の人生で得た何よりも、あなたの奴隷であることが幸せなんです。どうか、どうか、あなたの全てを俺にぶつけて下さい。あなたが思うよりもきっと、俺は心も体も丈夫ですよ」 SMに耽溺する人間が、ハードな調教を受けながらも健全な精神のままでいられるとは思えない。だが、主人を想うゆえに強くなれる、根っからの『従属する者』はこうして存在する。 それは、なんていたいけで、愛しい存在なのだろうか。 「今夜出会った時は泣いていたのに、今は私より強いなんて、あなたは本当に不思議な人ですね」 頬を撫でてやると、猫のように顔を摺り寄せる。こんな全幅の信頼を寄せられて、絆されない人間がいるだろうか。 だが工藤の奴隷は、それだけでは終わらない。その忠誠心は厚く、欲望はあまりにも深かった。 「あなたの汚れた舌を、清めさせて貰えませんか?その……すごく感じてしまいましたが……、やっぱり俺の汚い場所を舐めて貰うなんて、許されることじゃないです。どうかあなたの舌を、舐めさせてください」 普段であれば口に出来ないだろう大胆な願いを口にした雛木の目は、ぼうっと霞んでいた。今この瞬間、心の内に虚飾はひとかけらもなく、ただ汚してしまった主人の舌に心を痛めているのだとわかる。 だから工藤は舌を差し出してやった。長く、器用で、敏感な筋肉でありながら、粘膜のようにぬめる(かたまり)を。 おずおずと差し出された雛木の舌が、工藤の舌先に触れる。出会った頃より随分と伸び、器用になった舌が、先端だけを使って工藤の舌の表面を舐め取った。 苦味を残していた味蕾(みらい)が、雛木の唾液の味で上書きされる。 次第に大胆になっていく雛木の舌は、猫が毛づくろいするかのように、ぺろん、ぺろん、と工藤の舌の表面を(こそ)いだ。 おそらくキスという発想もなく、雛木は一心に工藤の舌を舐め清める。彼が綺麗にできたと満足するまで、工藤も舌を突き出して付き合った。 どちらからも決して唇を重ねようとはせず、半眼の瞳に愛しさを滲ませながら、与え、(ねぶ)り続けていた。

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