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第3話

 じわりとカウパー液があふれ、皮を剥かれた先端が滲み、一層過敏になる。  「素質あんじゃねーの?」  下卑た笑いがくぐもっている。  「ぅあ!」  少年の指が、後腔から僕の中に入ってくる。  「アッアッ…やめ、やめろっ!」  「なんだ思ったより全然きつくねーじゃん」  「アァゥッ!」  少年の人差し指らしい、乾いて筋張ったものが、僕の直腸に入り込む。  「ウァッ、アッ」  内臓がせり上がる。  指に突き上げられて、腰が浮く。  「アぐっ、やめ、やめろアァ!」  鈎状に曲げられた指が、腸壁を押し拡げ、性器が震えた。  「やめろじゃないでしょー、涼丞ー、大人なんだから口のきき方くらいわかるよねー?」  ぐりぐりと指を捩じるたび、腸壁がにじられ、胸がもぞ痒くなる。  「あぁ、あ、やめて、やめて、ください」  爪が腸壁をひっかくたび、先刻の圧迫感とは違う、妙な痺れが、下腹部を襲う。  「んー…どうしようかな」  喉の奥から笑う声が、聞こえる。  密着した背中から子どもの高い体温を感じた。  「やめてあーげない」  「あひぃっ!」  曲げたままの指が、円を描いて捩じられ、肉襞を絡めたまま胎外に露出する。  その衝撃に膝をつく。  後腔がひくひくと戦慄いた。  「やめてくださいなんて言う割には腰砕けだし、期待してんじゃない?だからやめない」  何かあさる音を立てながら、少年が揶揄する。  「ああっ」  腕をつかまれ、再び、橋脚に向いて、立たされる。  「ひぃっ!」  冷たい、チューブ状の何かが、指の代わりに後腔から侵入してくる。  「俺、今日彼女に振られちゃって、しょげてんだよね。折角面白いモノ入手したから試そうと思ったのにさぁ」  「あ、あ、あ、」  にゅるにゅるとゲル状の物体が、下腹部を重くする。  注入が済むと本能的に異物を胎外へ出そうとする後腔を少年の指が塞いだ。  「あぁ、やめ、やめて」  「ケチなこというなよ。ビキ出来る勇気があんなら、傷心のイタイケな少年にケツマン掘らせるくらいたいしたことねーだろ」  細い声の懇願は、少年に嘲笑われて終わった。  少年の指が胎内を刔るたびニチャッニチャッといやらしい音が誰もいない陸橋下を響く。  「あっ、あぁっあぁっ」  下腹部が急に重く、熱くなる。  むず痒く蠕き、はしたない先走りがまるで放尿さながらに地面に生えた雑草を濡らす。  「いやだ!なんだ、なに!なんで!」  勝手に腰が動き、もどかしくて堪らない。  性器が熱い。  直腸内が痺れて、むず痒くて、自分から少年の指に肉襞を絡めた。  足りない。  決定的な快楽が欲しい。  なんでこんな。  「効いてきた?」  少年の声が耳の近くでする。  それすら新たな快楽となり、僕をおとしめた。  「ひどい彼女だよなー。ちょっとアナルファックさせてほしいっていっただけで俺みたいな男前振っちゃうんだから」  その彼女の判断は正しいと思う。  こんな変態性欲の塊のような男と、付き合うべきじゃない。  正常な意識下なら、そう悪態をつけたはずだ。  「あっ、あひっ、あひぃっ」  なのに僕の唇から出る声は気の違った嬌声ばかりで、直腸を掻き回される度、届かない一番奥をうずうずと蠢かせてしまう。  「あぁっあぁっ、」  気を緩めたら自ら声に出して求めてしまいそうで、息を弾ませながら耐えた。  「あぎっ!」  二本に増えた少年の指が肉襞に埋もれたしこりをかすめ、目の前が一瞬フラッシュした。  「これが前立腺ってやつ?」  くちゃりと音を立てて少年が舌なめずりをした。  その間にもチュチチュチと僕の肛門から粘液をこねまわす音が響く。  彼の凶悪な思考が、その指の動きに伝染して、僕は身体を慄かせた。  「や、やめ、やめて、ひいぃぃぃっ!!」  ごりごりと指の腹で、前立腺を肉襞に埋め込むように抉られ、僕は息を詰まらせながら絶叫して、精を放つ。  濃い、青臭いにおいがその場に立ち込め、絶叫に呼応するように、陸橋を電車が走って行った。

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