なんだかんだと言ってるうちに僕が ここの世界に来てから半年が過ぎてた。 充実してるからかめっちゃ早い。 マーサさんとはハーブブレンドやら 色々作ったり、接客も半年もしたら 常連さんたちにも名前まで覚えてもらえて 普通にやっていけてる。 あと錬金術の試験はもうちょっとしたら 受けに行けそうだとマシューさんに 言ってもらえたからしっかり復習して 身に着けて試験に行こう。 試験は定期的にあるらしくて願書は 役所に出せば錬金術協会から試験日の 連絡がくるらしい。 本当手厚いな。 僕が来て半年。 そう半年といえば僕の情報が国から 各役所に届ききったはず。 なので今日は役所に話を聞きに行こうと 思ってる。 まぁもう役所の前なんだけどね。 とりあえず窓口に行ってアザミさんが いるか確認してたら今通信中だからと 待合室で待ってる。 別に僕は窓口のとこで良いんだけど 凄く配慮してくれてるからか個室に 案内される。 本当に手厚い。 そんな事考えてたらドアがノックされた。 「キリタニさんお待たせしました」 「いえいえ全然。すいません突然きて」 「大丈夫ですよ。半年経ちましたしね」 そう言ってアザミさんは笑顔で対面の椅子に 腰かけた。 「各役所にキリタニさんの情報がきちんと 　行きわたりましたよ。」 「そうなんですね。何か緊張しますね。」 「本来なら通信でも良いんですけどね。 　稀に聞き間違い等で間違った情報が 　いってしまうというような事があって 　招かれ人など重要なものは書簡で 　まわるので一番遠くの役所に届くのが 　半年なんです。」 「じゃあ、もっと前についてるとこも 　あるんですよね？」 「そうですね。それでですね先程私が 　通信してたのが 　その事に関してなんですけど 　ここからだと3か月ほど 　掛かる結構大きい街があるんですけどね。 　王都からだと１月半くらいですかね。 　そこの役所に来た獣人の男性が 　キリタニさんの情報を見た瞬間 　飛び出して行ったらしくて」 「えぇ！？それってもしかして」 「えぇ。多分キリタニさんの片割れで 　間違いないかと」 「そうですか。」 「ですが、確認しようにも 　こちらの静止を振り切って 　飛び出して行ってしまったらしくてですね。 　本来なら詳しい話などをして 　キリタニさんにお話をするところ 　なんですが獣人の方の素早さには 　我々では追いつけず申し訳ないのですが 　詳しい相手の情報がほとんどありません。 　申し訳ないです。」 深く頭を下げて謝罪するアザミさんに ギョッとして謝罪はいらない事を伝えた。 「えーっとその獣人の男性って 　何の獣人さんかはわかったりします？」 「えぇ！！それはもちろん 　その方は特徴的だったので 　役所のものでも分かったそうです。 　ユキヒョウの獣人の方だそうです。」 「ユキヒョウですか。 　ヒョウとはどう違うんでしょう？」 「ユキヒョウはその名の通り 　比較的寒い場所を好む種ですね。 　なので雪山や山の上の方に 　暮らしてる方が多いですね。 　まぁそれでも獣人の方なので 　街でも暮らしたりはしますが 　暑さは苦手だと思いますよ。 　あとは尾が太くて長いですね。 　獣体の時はその尾がバランスを 　とったり等するそうです。」 「へぇ。まぁ僕も極端な暑さ寒さは 　苦手ですけどもっと 　苦手そうですねぇ。 　１月前って事はあと２月位でここに 　着くかもしれないって事なんですね。」 「そうですね。役所に来てくれたら 　キリタニさんにまず連絡をして 　それから予定を合わせて 　顔合わせという形をとっていこうと 　思ってますが..... 　まぁ可能性は薄そうですね。 　もしキリタニさんのとこに 　直接その方がこられた時は役所に 　先に来るように伝えてくれませんか？」 「わかりました。」 そのあとは最近の様子を聞かれたりして 充実してる事を伝えて帰ってきて マシューさんとマーサさんに伴侶さんの 事を伝えたら獣人にとって番っていうのは 唯一無二でそれが出会えない状況だったのが 会えるって分かったのならそうなっても おかしくはないだろうという事だった。 もし来たとしても僕からは 離れなさそうだから 役所について行ってあげたら良い と言われた。 ピンとこないがそこまでなのか。 会ったことないのに 気に入らないみたいなものは ないのか。僕はどうなんだろうか。 マーサさんなんかは きっと片時も離れたくないって 言うだろうから裏のあまり使ってない倉庫を 寝泊り出来るように改装しようと言い出して ビックリしてそこまでしてもらう訳には いかないって言ったけど もう殆ど孫みたいなもんだから気にするなと マシューさんにも言われいきなり 同じ部屋とかは僕が大変だろうから そうしようって話になって ２月あるならどうとでもなる って言われて一緒に 最低限の改装をする事になった。 僕こんな良くしてもらって ２人に恩返しとか出来るんだろうか。 何ができるかわからないけど 孝行していきたいな。