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第14話 少年、旦那(予定)と団欒する(1)

僕は今とてもドキドキしている!! あの後、急な事だったので食材等 何も用意が出来ていない事と マシューさんとも顔合わせも兼ねて マシューさん達と食事をする事になって 恙無く食事を終えて新居に2人で 戻って風呂に入ったあとである。 寡黙っぽく見えてたから どうだろうって心配だったけど 寡黙という程でもなく穏やかに 話したりして思った以上に 楽しい食事の時間だった。 風呂から出て寝室にいるんだけど 工事の時教えてもらって本当に 良かったと思う。 寝室は絶対に一緒が良いって言われて ちゃんと2人で使う様に準備しているのを 見てとても喜んでくれてた。 この家は僕がどうしてもと願って 土足厳禁にしてもらったから 玄関のとこに少しの段差をつけて 仕切って靴箱も設置してもらって 和式にしてもらった。 ダイニングキッチンだから基本的には テーブルと椅子で食事だけど 居間も暖炉付近はそのまま直に 座れるようにしていて 寝室もベッドだけど部屋自体は ローテーブルとカーペットが 敷いてあって直に座る様に してもらった。 そう。 そしてそのローテーブルで対面でなく ベッドを背にして横並びで座っている のが現状である。 めちゃくちゃモフモフしてる尻尾が 巻き付いてて気持ち良いのと ピッタリくっついてイケメンに スリスリされてる心臓バクバクの僕。 なっ何か話さねば!!! と真っ赤になりながら話題を 探しているとエレムルスから 話しかけられた。 スリスリしながらだけど。 「ノゾムの事を教えてほしい。 話したくない事等があればそれは 無理に聞く気はないが話せる限りで ノゾムの事を知りたい。」 「僕の事...僕そんな特別な話は ないんだけどなぁ。」 「特別な事が聞きたいんじゃないんだ。 ノゾムがこちらに来るまでどういう風に 生きて来てこちらに来てからも どう生きてきたのかノゾムが どういう子なのか知って理解して 寄り添って一緒に過ごしたい。 そして俺の事も知って理解して 寄り添って生きて欲しいと願ってる。」 僕はただただ見つめ返すしか出来なくて 胸がいっぱいになって答えようと 思うのに感情が膨れ上がって 言葉が出て来ない。 僕は確かに大切に育ててもらった。 だけどそれはあくまで孤児として であり深い繋がりではない。 18歳になれば出て行くという 決まりがある施しだった。 それでも親切にしてもらって 心から感謝はしている。 けどそれでも寂しさはあった。 普段はそこまで考えてはいないけど 定期的に負の感情に囚われた。 参観日、GW、長期休暇、年末年始 職員の人達は交代で休み家族との時間を 過ごしていてお土産をくれたりして 嬉しい反面羨ましくて堪らなかった。 僕には家族がいない。 誰も僕の両親を知らない。 だって僕は置いていかれていたから。 感謝しているのに羨ましい 妬ましいと思う気持ちは必ず 何処かにあって心細くて寂しくて 助けて貰ってるのに申し訳なくて 自分から誰かを求めるのも いらないって言われたら.... そう思うと何も出来なくて だって僕は両親から捨てられたから 怖くて寂しくて悲しくて虚しい なのにいつかは誰かとなんて 夢だけはあって.... だからこの世界に来て本を読んだ時 僕は喜んだ。 カリムの町に来て招かれ人達の話を 沢山聞いて更に喜んだ。 魂の片割れだ。 唯一無二で離れるなんて無理だと それ程までの想いを最初から 持って貰える。 そんな相手なら僕は捨てられない。 そして家族になれる。 僕にとって唯一無二の相手。 僕の宝物だ。 そんな相手と生きて行ける。 そんな幸福に僕はこの世界の神に 心の底から感謝した。 どんな人だろうか。 大切にしたいし、されたい。 穏やかで優しい人なら良いな。 相手は僕を見ても好ましく 思ってくれるだろうか。 ソワソワしながらずっと待っていた。 実際に会えて熱烈に好意を寄せられて 嬉しい反面、魂の片割れという 抗えない繋がりだから僕という人間 の事はどう思っているだろうかと 不安もあった。 だけど今、エレムルスは僕が一番 欲しかった言葉をくれた。 魂の片割れというだけでなく 僕という人間の内面を知りたいと 僕が歩んできた人生を知りたいと 理解して寄り添って過ごしたいと 僕にも同じ様に寄り添って欲しいって そう言ってくれた。 心が震えた。 渇望してきた願いが叶う事に 歓喜と感謝で胸がいっぱいで 溢れて涙がボタボタと落ちていく。 エレムルスは一瞬驚いたが すぐに何か察してくれたみたいで そっと抱き寄せてくれて いつの間にか抱え込まれて 背中を撫でられていた。 それが余計に嬉しくて ぎゅうぎゅう抱きつきながら 泣いていると更にしっかりと 抱きしめて何も言わず撫でてくれた。 泣き止むまでの間言葉はないのに なんとも言えぬ心地の良さを 感じながらじっとしていた。

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