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第5話 少年仕事を決める(1)
教会からまた広場に戻ってきて
寝っ転がっていると夕方になってきた。
夕焼け色の空を見て何とも不思議な
気持ちになった。
「異世界でも夕焼けは同じなんだなぁ」
夜も月は一つだし色も同じ。
太陽も一つ。
小説で読んだ異世界とは違って
こうしていると異世界感は
ほとんど感じない。
町自体もそういう設定で
作られてるとか言われたら
納得いく位に不便がない。
「本当に先人の人達に感謝だなぁ」
僕が最初の方にきてたら多分
何も出来ずに右往左往してるだけ
っていうのは想像出来てしまう。
郷愁の念もない。
チビ達の事は気にはなるけど
ばあちゃんの親戚の人がちゃんと
してるから問題ないしなぁ。
馴染みやすくなってる環境が
ネガティブな感情になりにくく
してるのかなぁ。
僕の場合はまぁなるようになるって
思ってる部分も大きいしなぁ。
などとつらつら考えてると
陽が落ちきってしまいそうになった。
いくら安全性が高いとはいえ
やはり夜に独り歩きするのは
好きじゃないから今日はもう帰ろう。
立ち上がって宿舎の近くまできた時
丁度帰るところっぽいアザミさんを
見かけた。
丁度アザミさんも僕に気がついた様で
立ち止まって手を振ってくれてたので
振り返しつつ近づいていく。
「お疲れ様です」
「ありがとうございます。
キリタニさんは今お帰りですか?」
「はい。陽が落ちる前にと思って」
「確かに。
まだ夜に出るのはあまりオススメ
しないですねぇ」
「ですよねぇ」
「詳しい話は明日になりますけど
キリタニさんの職場体験の候補が
準備出来ました」
「こんなに早く!?
凄い!!
ありがとうございます
無理言ってすいません」
「いえいえ!
全然大丈夫ですよ!
招かれ人はいつくるか
分からないのである程度
候補はあらかじめ決められて
いるんですよ。
なのでお気になさらず」
「なら良かったです。
じゃあ、明日伺います。
いつ頃行けば良いですか?」
「いつでも大丈夫ですよ。
キリタニさんの都合の良い時に
来て頂ければ対応しますんで」
「わかりました。
朝のうちに伺います」
「はい。
お待ちしてます。
じゃあ、失礼します。
また明日」
「はい。
宜しくお願いします。
気をつけて」
「ありがとうございます」
アザミさんと分かれて宿舎に行き
ご飯を食べてお風呂に入る。
そう言えばお風呂って高級なイメージ
あったけど、それも今までの
招かれ人のお陰でお風呂がちゃんと
みんな入れる様になってるのは
本当に嬉しい。
まぁトイレとかその辺が改善されてる
時点でお風呂もされてても不思議
ではないしなぁ。
本当に有り難い。
僕本当についてる。
おまけにこの町はちょっと山の方に
大きめの川があるからそこから水を
引いてきてるから水もふんだんに
あるから凄い助かる。
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