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始まり 03

「......また朝から居るのか。ほんと懲りないな....」 きぃ、と屋上の扉が音を立てて開き、いつものように屋上に現れたオオカミ会長。 俺が何かしでかせばすぐにこいつの耳に入り、すぐさま俺の元へとやってきて説教が始まる。 これまた日常茶飯事。 その顔はまだ表の顔。 ついでに言うと呆れ顔。 「んだよ、うるせーな。まだ授業始まってねーしいいだろ」 「そんなこと言って.....どうせ始まっても戻らないつもりのくせに、よく言ったもんだ」 フェンスに寄りかかって睨みを効かせる俺に臆することなく近寄ってくる大神。 俺の言い訳を鼻で笑って一蹴し、フェンスに手をついてぐいっと顔を近づけてくる。 「....さぁ、今日も楽しい”遊戯(ゲーム)”を始めようか」 普段皆に見せてる優しげな笑みは何処へやら。 にやっと意地悪く上がる口角と冷たく笑う瞳に半反射的に身体が竦む。 表の顔は消え去り表在した裏の顔。 静かに頷く俺に満足そうに笑っているが、その眼は一度も笑っちゃいない。 まるで悪魔の笑みだ、と心底思う。 「今日もたーっくさん、可愛がって啼かせてやるよ」 「....っ、.....こんのクソオオカミめ.....ッ」 攻撃的に睨む俺をクスクスと笑って見下ろす狼。 齧り付くような荒々しい口付けが降り掛かり、気を抜けば全てを持っていかれそうな引力に抗い続ける。 一瞬でも気を緩めればいつも途端に呼吸の仕方が分からなくなる。 『これ』は、誰も知らない、俺とこいつだけの秘密。 その始まりは今から約3週間ほど前に遡るーー....。

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