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契約 03

栖旺学園には上級生と下級生の間でパートナーズ契約というものを結べる制度がある。 何か困ったことがあればパートナーの上級生を頼れる、立場の弱い下級生にとっては上手く使えば便利な制度。 契約を結んだ以上お互い文句はなし。 無下にするのもなし。拒否するのもなし。 これはあくまでも暗黙の了解。 しかしよっぽどの理由でもない限り、下級生が上級生に対して拒否できるはずもない。 つまり、立場の弱い下級生を上級生は良いように使えるという闇のような制度でもあるのだ。 互いの間で約束事を自由に決められ、その決めた約束事は絶対遵守。 例外は認められず、お互いの同意のもとで契約が解消されるまでは半永久的に効果を発揮する。 それがこの制度唯一の取り決めにして最重要な取り決め。 申請承認されれば誰も、当事者でさえ文句は言えなくなる。 『僕らはパートナーなんだから、ね』 そんなたった一言で弱者は縛られる。 そんな制度をこいつは利用した。 もちろん裏の目的で。

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