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契約 04

本来、他方に不利益になる約束事は承認が下りないことになっている。 だからこその2枚の契約書。 申請が承認されるように提出用にはまともな約束事を。 手元に残す分には本来守らせたい約束事.....俺たちの場合大神の言うことは絶対である、と言う約束事を。 例えどんな理由でも此奴なら難なく承認印が貰えるだろう。なにせ皆に一目置かれる頼れる生徒会長様だ。 大神にしかできない、なんとも狡猾で卑怯な手口。 先に読まれてしまえば俺が拒否することは明らか。 だからこそこいつは先にサインさせた。 つまり、この契約のおかげで”いつまで”という制限なしにあいつは俺に何でも命令することが可能となるわけだ。 そしてこの契約書が大神の手元、比しては学園にある限り俺は奴に逆らえない。 最初からこいつの目的は俺を手に入れること。 たったそれだけの為に奴はゲームを仕掛けたのだ。 俺の性格を逆手に取り利用して。 「ふざ....けんなよ.......っ」 その事実にようやく気がついた俺に「今更気づいたんだ」と鼻で笑う大神。 身長差でどうしても見下ろされる事にさえ腹が立ってくる。襟首を掴む手に怒りで自然と力が篭った。 「クソっ.....マジでクソオオカミ.....っっ!!」 「何とでも言っとけ。ま、黙っておくのが賢明だとは思うがな」 あいつが提示した、俺たちの間の約束はただ一つ。 「言っただろ、負けたら俺の言うことを”なんでも”聞いてもらう.....ってな。いい加減頭使えよ、ばーか」 『大神の言うことは絶対である』 ただそれだけ。 それだけだが言うことは何でも聞くという約束。 たった一つにして最悪の約束。 「ま、これからは仲良くしようじゃん。 .......俺の可愛いパートナーくん」 「誰が!てめぇとなんか仲良くするか!!!」 「......仲良くしようね、煌くん?」 「....ぅっ.....、っ.....」 「......返事は?」 「.....っ.....、は、...ぃ....」 「よろしい」 そう言い放つ大神は過去最高に恐ろしい笑みをしてて。 有無を言わせない圧力によって俺は頷くしかなかった。 こうして俺の悪夢の日々が始まった。

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