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暫しの休憩 03
部屋の中は真っ暗で、キングサイズのベッドが2つポツンと置いてある。
本当に仮眠室としてのみ使われてるらしい部屋だ。
そしてそのベッドの内の1つで、その人物はスヤスヤと寝息を立てていた。
人に自分の仕事を押し付けておいてなんだこれは。
((なに一人気持ちよさそうに寝てんだよ....!))
さっきまで収まっていた怒りが再びフツフツと沸き起こる。
「おい!さっさと起きろ、クソオオカミ!!」
「ん....っ.....るせぇな.....」
怒りに身を任せたまま嫌がらせを兼ねて掛け布団を引き剥がすも、帰ってきたのはものすごく不機嫌でドスの効いた声。
どうやらこの狼、寝起きは相当機嫌が悪いらしい。
でもここで食い下がるわけにはいかない。
「おーい、起きろっつってんだろ!おーきーろーーー!」
最終手段としてカバンをおいて靴を脱ぎ、ベッドに上がって大神自身を揺さぶりにかかる。
ついでに耳元で大声で呼びながら。
「っるせぇ、黙れっつってんだよバカ犬」
「あ、起きた?....って、俺は犬じゃな.....っ
ちょ、なにし......ぅわっ!?」
「しかも誰が勝手に帰っていいと言った」
嫌々の不機嫌ながら目を開けたところまでは良かった。
が、勝手に帰ろうとした俺が気に食わなかったらしい。
大神を起こすという本日最後の一仕事終えた俺はさっさとベッドから降りて帰ろうとしていた。
そんな俺の腰に腕を回し、あろうことか大神はベッドの中へと引きずり込んできた。
そしてそのままガッチリと腰をホールドされて身動きが制限される。
引き剥がしたはずの掛け布団も、いつのまにか俺達の首元まである。
なに、この仕事の速さ。
この仕事の速さをなぜ生徒会の雑務に活かさないのか。
不思議で仕方ない。
ていうか、こいつ俺のこと犬扱いしやがった。
しかもバカ犬っつったか!!?
誰がバカ犬だよ!!
だったらお前は犬の面被った狼だ!!ケダモノだ!!!
いちいち腹立つな........!!!!
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