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遊戯の時間 02
「.....っ、引っ掻く、なよ.....っ」
「.....まーた、口の利き方。何回言えば分かるわけ?」
ほんとお前ってバカだな、ともう何度目か分からない叱責と痛みが身体を襲う。
「う、ぁ゛...ッ!!! 引っ掻かない、で...くだ、さ....っ」
「発言を許した覚えもないけど?」
「ぃ゛.....ッ!」
身体にはいくつもの引っ掻き傷や爪痕が散らばり、中には薄ら血が滲むほど強く爪を立てられた痕もある。
痛い。
ただただ痛くて、怖くて、とにかくやめて欲しくて。
その一心で言われた通りに言葉を発しても、言う事を聞いても、結局怒りを買って傷が増える。
今の俺には発言することすら許されないってのか。
ただひたすらに、目の前の怒れる狼の言う事を聞くことしか許されない。
だから耐えて耐えて言いなりになり続ける。
....全ては今この瞬間から解放されたい一心で。
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