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嘘の代償 02
大神が耳元で呟いたその刹那。
彼は一度も弄ったことのない孔など御構い無しに
腰を俺の奥に向けて一気に打ち付けた。
肉壁を裂き入る強烈な痛みと巨大な侵入者に目の前が真っ白になり、目の奥でチカチカと星が飛ぶ。
「ぁ゛ッ.....、がっ.....ッ」
「いつまでそのド下手糞な演技続けるつもり?
それで俺が解放するとでも?......笑わせてくれる」
バレバレなんだよ、と馬鹿にするように鼻を鳴らす。
そして痛みに呻く俺を滑稽なものを見るように見下ろす光のない冷徹な瞳がそこにあった。
((.....バレてたのかよ.....っ、))
賭けだなんだと言うまでもない。
初めから勝負はついていたようだ。
やっぱり.....無謀な作戦だったということか。
そう気づいてももう時すでに遅し。
俺の命綱なしの綱渡りは呆気なく失敗に終わった。
餌に執着する獣の牙によって唯一の足場はあっさりと噛みちぎられ、待ち受けるのは一寸先も見えない暗闇の渦巻く奈落の底。
お先真っ暗な未来に絶望だけが広がっていく。
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