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無自覚 01
「あー、笑った笑った」
散々笑って漸く笑いの虫が落ち着いた。
思い出すとまた笑いそうになるから頭の中から消去する。
「ほんと、黙ってれば可愛い顔してんのに」
悪戯をされても爆睡し続ける天宮をそっと撫でて呟く。
腕の中で大人しく寝ている後輩の寝顔はなんとも言えないあどけなさで。
整った顔をしてる天宮に対し、女子が陰できゃーきゃー黄色い声をあげてた事を思い出す。
そんな女子たちがこんな寝顔を見た日にはどうなるやら。
....まぁ俺の方が人気だけど。
この寝顔を知ってるのも俺だけだし。
.....誰にも見せる気ないけど。
俺のものだし。
「....。余計な心配は無用か」
本人すら無自覚の小さな嫉妬と優越感が
心の奥底で渦を巻き始めた瞬間。
「さーて、これからどうやって言うこと聞かせようか...」
しかしそんな事、本人はつゆ知らず。
如何にして主導権を握るか。
如何にして手懐けるか。
如何にしてクソ生意気な後輩を思い通りに動かすか。
今のままじゃ....まだ足りない。
まだダメだ。
もう大神の頭の中はそれだけでいっぱいだった。
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