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会長の部屋 04

「服は乾燥機にかけてる。 荷物は脱衣所の—...っておい!」 「っ....!」 個室を見れなくて悔しがってるのも束の間。 大神の言葉で荷物の存在を思い出し、 言い終わるのを待たずに脱衣所に走る。 危ないから走るな!という大神の声を無視して脱衣所に駆け込み中身を確認した。 ((....よかった、ちゃんとある)) 「それ」がなくなってない事を確認してほっと一息つく。 あとは見られてないことを確認しなくては。 「そんな走らな....」 「見た?」 「....は?」 荷物片手にリビングに戻って真っ先に確認を取る。 「それ」だけは誰にも見られてはいけないものだから。 「見た...って何を」 「....鞄の中身」 突然の問い掛けに不思議そうにこちらを見つめる大神。 その視線から逃げたくて堪らず俯く。 答えが怖くて鞄を持つ手に自然と力が篭る。 「.....いや、別に見てないけど」 その答えを聞いて肩の力が抜けた。 何かを察したのか大神はそれ以上何も言わなかった。 その事に俺は再びほっとして力を抜いた。

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