51 / 115
会長の部屋 04
「服は乾燥機にかけてる。
荷物は脱衣所の—...っておい!」
「っ....!」
個室を見れなくて悔しがってるのも束の間。
大神の言葉で荷物の存在を思い出し、
言い終わるのを待たずに脱衣所に走る。
危ないから走るな!という大神の声を無視して脱衣所に駆け込み中身を確認した。
((....よかった、ちゃんとある))
「それ」がなくなってない事を確認してほっと一息つく。
あとは見られてないことを確認しなくては。
「そんな走らな....」
「見た?」
「....は?」
荷物片手にリビングに戻って真っ先に確認を取る。
「それ」だけは誰にも見られてはいけないものだから。
「見た...って何を」
「....鞄の中身」
突然の問い掛けに不思議そうにこちらを見つめる大神。
その視線から逃げたくて堪らず俯く。
答えが怖くて鞄を持つ手に自然と力が篭る。
「.....いや、別に見てないけど」
その答えを聞いて肩の力が抜けた。
何かを察したのか大神はそれ以上何も言わなかった。
その事に俺は再びほっとして力を抜いた。
ともだちにシェアしよう!