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会長の部屋 05
乾くまでもう少しかかるようで。
乾くまでそのまま着てろ、と言われて仕方なく大神の服で我慢する。
袖も裾も丈も全てが大きい大神の服。
手は隠れるし。
ダボダボだし。
太腿まであるし。
肩のラインは合わなくてずり落ちてるし。
ズボンは本来八分丈程度なのだろうが
それが俺にはぴったり丈なのが悔しい。
嫌でも思い知らされる身長差。
こんなところでも負けたような気がして更に嫌になった。
そして何よりも全身を大神の服で包まれてるのがなんだかむず痒い。
落ち着かなくてそわそわしてたら
座れば?とリビングの椅子を指差された。
大人しく言う事を聞くのは釈だけど。
仮にもここは他人の部屋。
好き勝手するわけにもいかず、大人しく椅子に座った。
決して言う事を聞いてやったわけじゃない。
仕方なく、だ。
ざわつく心をそうやって鎮めて、改めて辺りを眺める。
部屋は全体的にシックな黒を基調とした家具で統一。
置物も少なく必要最低限の物しかない感じ。
整理整頓も行き届いてる。
実に大神らしい。
俺と湊の部屋なんか趣味がちぐはぐで、各々好き勝手に揃えてるため統一感皆無。
パーソナルスペースなんかあってないようなもので、あっちこっちに互いの物が散乱してる。
こんな広い部屋で自分の好きなものだけ置けるなんて羨ましい。
会長の特権ってやつか。
1人部屋の特権ってやつか。
「生徒会長ってだけでこんな広い1人部屋使えるとか、
すっげーな」
「ああ.....まぁ、ね.....」
「.....?」
なぜか言い淀む大神。
その様子に首を傾げていると、突如鞄の中で携帯が震えた。
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