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鬼の形相 02

「....っ、帰る!!!!」 その一言だけ残して慌ただしく部屋を飛び出した。 部屋を飛び出す間際。 ちらりと見えた大神は戸惑った顔をしていた。 心の中でごめんと呟きながらエレベーターのボタンを連打する。 電話の主にどう説明するかの方が問題だから致し方ない。 急いでる時に限ってすぐに来ないのがエレベーター。 焦りと苛立ちでその場をうろうろする。 ようやく来たエレベーターに乗り込み5階を連打。 そして閉じるボタンを連打。 連打したってスピードは変わらない。 わかってる。 それでも急いでる時は連打してしまう。 エレベーターで下階に降りる間に確認すると 昨晩から100件近い鬼のような着信履歴があった。 加えてLINeにも鬼のような数の未読メッセージ。 留守電も入っていたけど怖いから聞かなかった。 ((....絶対激おこじゃん....)) 5階に着くと開くボタンを連打。 開いた隙間から滑り出て自分の部屋までダッシュ。 そして直ぐには入らず一旦息を整える。 そして意を決して扉を開けた。 「......ただい.....ひっ」 「.....お帰り。一体今までどこにいたのかな」 鬼電の主は鬼の形相で仁王立ちをして待っていた。

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