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鬼の形相 03
「......ただい.....ひっ」
「.....お帰り。一体今までどこにいたのかな」
「湊.....ごめん.....っ、怒ってる....よな.....」
「別に、怒ってなんかいないよ。俺に連絡1つよこさずこっちからの連絡にも答えず朝まで一体どこで誰となにしてたのかなっていう素朴で純粋な疑問だよ」
仁王立ちでお帰りと言うルームメイト。
怒ってないと口では言ってるが目が笑ってない。
そして紡がれた言葉は息継ぎほぼゼロ。
怖い。普通に怖い。
勉強が出来なくて泣きついてくる湊と
目の前で仁王立ちして俺を見下ろしている湊。
これが同一人物だと誰が信じられるだろうか。
「....連絡しなくてごめん」
「いいよ、ちゃんと帰ってきてくれたから。
けど質問には答えてよ。今までどこにいたの」
連絡をしなかったことを謝る。
快く許してくれたけど多分俺が帰ってくるまでずっと起きてたんだろう。隈がすごい。
その様子を見て心底申し訳なくなる。
湊の質問に最初どう答えようか迷った。
けれど申し訳なさが優って事の経緯を説明する。
学校にいた事。
生徒会の仕事を手伝っていた事。
その後仮眠室で寝てしまった事。
起きなかった俺を大神が部屋に運んだ事。
もちろん.....
俺の人生最大の汚点である夜中の出来事は隠した。
気づいたら朝だった....と嘘をついて。
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