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教室 01

生徒会を飛び出し早足に向かうは旧校舎。 教室へは向かわず、いつものあの場所へと急ぐ。 バレない内に。 幼等部に入学してからほとんどの時間をサボりに費やし、屋上と保健室のベッドの上で過ごしてきた。 初等部5年まではそれでもよかった。 けどそれも俺が6年生になるまで。 つまり大神が中等部に上がり生徒会に入る前までの事。 奴が生徒会に入った途端、今まで無関心だった生徒会の目が俺に向くようになったからだ。 昼寝を邪魔され、サボりを邪魔され、散々な日々。 それから見つかる度に校内を点々とするようになった。 そんな中、新たに見つけた俺の居場所。 それは旧校舎にある旧生徒会室。 湊以外には教えてない、俺の秘密の場所。 目をつけられ始めてから半年後くらいに見つけた。 それから3年半。 ここは俺の居場所になった。 今のところ、ここに籠ると見つからない。 唯一の憩いの場なのだ。 結構立派なソファが置いてあって寝るには最高だし、いろいろ触っていたら空調がまだ機能してることも分かった。 サボるには完璧すぎるくらいの部屋。 そーっとドアを開けると、今日も薄暗い室内が迎え入れてくれる。 「んんーっ.......やっと休める....」 荷物を放し、素晴らしい環境の中ソファに寝転がる。 教室に戻らなかったことがバレたら。 式典に出なかったら。 何をされるか.....分からない。 けど..... だからと言って教室に戻るなんて絶対に嫌だった。 俺が入った途端ヒソヒソと囁かれる、あの居心地の悪さ。 陰口。 悪口。 噂話。 ヒソヒソ、クスクス、ジロジロ。 俺に向けられるものたち。 女子も男子もこぞって騒めきだす。 居心地の悪い空間。 湊は気にするなって言ってくれてる。 妬みや悪口以外に良いことも言われてるんだって。 特に女子はそうだって。 でも...それを信じられない俺には嫌な空間だった。 必要最低限以外、死んでも戻りたくはなかった。

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