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教室 02
ソファに寝転がり天井を見つめながら迷うこと数分。
約束しちまったしな....とのそのそ起き上がり、嫌々だけど教室へ向かって歩きだす。
俺たち1年の教室があるのは高校棟の3階で、学年が上がるごとに階が下がってくシステム。
旧校舎から高校等への道のり。
気が進まなくて足取りは重く普段より長く感じた。
途中、あいつの感触を消すために水道で口を洗う。
うがいも忘れない。
もうなんならミントのガムとか噛みたい気分。
ミント.......苦手だけど。
でもあいつとのキスやさっきまでのこと、先日のことを思い出すだけで反吐が出そうで。
ミントのガムのほうが、今はまだマシな気がする。
「っ、....ホント最悪....なんなの」
時計を見ると時刻は9時少し前。
もう少しで朝のホームルームが終わる頃。
間に合えばこの後新学期恒例の実力テストの時間。
そしてその後からようやく式典だ。
普通、順番逆じゃない?
式典の前にもう授業っぽいの始まってんじゃん。
っていつも思う。
足取り重く3階まで上がる。
近づくたびにガヤガヤと賑やかな声は大きくなっていき、どんどん胃痛が酷くなってくる。
実力テスト前の休憩時間。
生徒の波でごった返している廊下を無心で歩く。
そんな中俺の耳に届く数々の囁き声。
「えっ、あれって....確か....」
「初等部の頃からサボってる子でしょ....?」
「見て見てっ、天宮くんだ....!!」
「天宮が教室に来るなんて珍しい...」
ヒソヒソと俺の名前と共に囁き声が聞こえてくるのはやっぱり気に入らない。
((....うぜぇ...))
妙に顔を赤らめ騒つく女子達。
怪訝そうにこちらを見ながら騒つく女子達。
同じく怪訝そうな顔をして騒つく男子達。
俺にとって違いなんて無くて
騒めくその場の人間全員を軽く睨んで教室に入る。
俺のクラスはもちろんD組。
湊からのLINeで聞いていたから迷うことはない。
そもそも問題児の俺は勉強できないやつが集まるD組以外になったことが今まで1度もない。
勉強はできても素行がよくないから.....
まぁ仕方ない。
教室に一歩足を踏み入れる。
耳を澄まさなくても聞こえる廊下と同じ複数の囁き声。
グルリと見渡すと俺を一目見て驚きに満ちた顔。
ああ、やっぱり居心地が悪い。
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