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教室 04

「あれー、煌じゃん。お前が逃げずに式典に向かうなんて珍し....え、なに?もしかして明日雪でも降る?」 「.......おい.....しばくぞテメェ」 椅子から立ち上がってすぐ。 近づくなオーラ全開の俺に駆け寄り声をかけてくる湊。 湊とはどうやら今年もクラスメイトらしい。 「今年もお前と同じクラスとか、まじ最悪」 「仕方ないだろー、俺お前みたいに頭良くないんだからさ.....。そう威嚇すんなって」 「......うざっ」 「え、ひどいっ!幼馴染に向かってうざいだなんて.....」 俺泣いちゃう...とシクシク泣き真似をする湊。 「やっぱうざいわ」 「えええ、ひどーーい」 2人で笑い合いながら並んで講堂へと向かう。 その様子を見た周囲が再び騒つく。 けれどさっきとは違って苦しくはならない。 湊との冗談交じりの他愛もない会話が心地よくて。 湊がいるだけで俺の世界は違って見える。 うざいと連呼してはいるけど。 こいつが友人でで良かったと。 クラスメイト良かったと。 本当は心から思ってる。 湊がいなかったら.... 奴に何を言われようと何をされようと、 俺が教室に足を踏み入れる事はきっとないだろう。 「もー、ほんと酷いなー。でも.....どういう心境の変化? お前が式典に出て挨拶もするだなんて。なんかあった?」 けれどそんな友人の厄介な部分が一つ。 湊は無駄に勘が鋭い。 それも俺のことに関しては特に鋭い。 こいつにだけは隠し事も嘘も通用しない。 良いか....悪いか。 今だって「大神先輩と何かあったの?」なんてかなり痛いところを突いてきやがる。 なんで"大神と"何かあったって分かるんだ。 ほんと不気味。 「別に....なんもねーし....」 何もなかった.......と言うのは嘘だけど。 あんな醜態、いくら幼馴染でも晒せるわけがない。 何もないと否定する。 「そう?まぁなんでもいーけど。 "大神先輩と"って部分は否定しねーのな」 「.....あ...」 .....しくじった。 些細な情報が漏れた瞬間、大概の事はバレる。 現に、湊はニヤニヤと俺を見て笑ってる。 最悪だ....。 「ふぅん....また、聞かせろよ」 「あ゛?誰が話すかよ」 「じゃ、また後でね?挨拶頑張って〜」 「あ、ちょっ....人の話聞けよ!...くそっ 」 人の話は流して自分の言いたいことだけ言い切った湊。 ひらひらと手を振りながら席に向かっていく その背中を思いっきり睨みつけた。

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