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式典 05

「それでは、只今より....」 ついに、何年振りかの式典が始まる。 横には大嫌いなアイツがいて。 最前列に座って。 式辞の紙持って。 しっかり制服着て。(パーカー無理矢理脱がされた) 例年、屋上で眠りについてる俺が講堂にいる。 なんだか....変な感じ。 ただの始業式でこうも大きく行う意味が未だに分からないけれど。 ここまできたらやり切るほかない。 「それではまず、栖旺学園理事長よりご挨拶をいただきたいと思います」 「新入生のみなさん、そして在校生のみなさん。こんにちは。理事長の神宮寺晴人です。あ、校門の桜見ましたか?今年も綺麗だったでしょ〜」 まず壇上に上がったのは学園の理事長 神宮寺晴人(じんぐうじ はると)。 日本中でその名を知らない者は居ないであろう大財閥・神宮寺家の三男坊で、この学園の管理を一任されている男。 学園創設者一族の人間であり、学園の現トップ。 神宮寺の名と権力は国すら動かすとの噂があり、 実質この国で一番の権力を握ってるのは神宮寺財閥だと言っても過言ではないだろう。 皆が畏れる神宮寺家。 名を聞くだけで大方の人間の腰が低くなる。 ついでに言うとうちの学園の”御三家”の一つでもある。 しかしそんな大財閥の人間とは思えない柔和な笑みを浮かべ、ほんわかした挨拶を続ける理事長。 開口一番桜の話をするとは思ってなかったであろう新入生達の、肩の力が徐々に抜けて行くのが分かる。 そりゃそうか。 そもそも『神宮寺』が理事長だと聞いていて緊張しない方がおかしい。 加えてどうせ昨日の入学式ではお硬く挨拶したのだろう。 あの人のことだ、容易に想像がつく。 ((.....神宮寺.....か)) 俺だって理事長以外の神宮寺の人間は怖い。 彼が理事長だからこそ、この学園は学園らしい姿を保っていると俺は思う。 「....とまあ、あまり長く話してもつまらなくなるね。 何はともあれ、これから皆切磋琢磨してくれたまえ。 ....期待しているよ」 「っ!」 挨拶の最後。 俺の方をちらりと見た理事長が、バチっとウインクしてくる。 最後の言葉....半分くらいに俺に向けて言いやがったな、あのおっさん。 そう感じた俺は思い切り睨み返してやった。

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