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揺さぶり 05

「またあそこでサボるの?」 「ん」 休み時間も終わりに差し掛かった頃。 午後からどうするのか、と尋ねられる。 もちろん最初からそのつもりだったから、頷いて返事を返す。 「先輩にバレても知らないよ?」 「.....あいつの名前出すなよ、イライラすっから」 名前を聞くだけで今までの嫌がらせを思い出し苛立ちが募る。 バレたところでなんだって言うんだ。 寧ろ、この俺が2時間も教室で大人しく座り続けてたことを褒めてほしいよ。 いやまぁ...あいつに褒められても気持ち悪いだけだけど。 ふと時計を見れば、あと少しで予鈴がなる時間。 途中で鉢合わせしたくないから今のうちに戻っておこう。 「ほんと、どうなっても俺知らないよ?」 「大丈夫だって。てかお前しつこい」 軽く伸びをして立ち上がる。 何度も何度も授業に出ないのかと尋ねられたが、出ないの一点張りで押し通す。 「心配してるだけなのに....」 「余計なお世話だよ」 「じゃあ、5限目は?」 「だから、いかねーってば」 「なんで」 「な、なんでって....」 唐突な質問返しにどう返答しようかと困る。 理由なんて特にない。 強いて言えば大神への反抗だ。 「5限目体育だしおいでよ。好きじゃん、体育」 「あー体育かー.....考えとくわ」 「俺はちゃんと忠告したからねー」なんていう友人の忠告を無視し、俺は屋上を後にした。 「あーあ、行っちゃった..... やっぱ奪っとけばよかったかな....」 扉が閉まり静けさを取り戻した屋上にて。 誰にも届かないそんな呟きが、宙を漂い霧散していた。

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