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クラスメイト 02
「まーまー、嘆いてもしょうがないし。
次は体育なんだから1時間頑張ろうぜ」
「んー.....」
机に伏せてため息ばかり漏らす俺の頭をくしゃくしゃと撫でて自分の席に戻っていった湊。
湊と席が近ければもう少し授業も楽しめたのかもしれない。
席に戻る湊の背を目で追いながらそんなことを考える。
「.....」
「.....なに?」
「へっ.....?」
「だから、なに?って聞いたの」
湊が席に戻るまでそっちを見ていると、隣の席の女子がこっちを見つめていることに気がついて声をかける。
名前なんか覚えてないから、なぁ、と呼びかける。
彼女は驚いたように小さく声を上げ、辺りをキョロキョロ。自らを指差して尋ねてくる。
「へっ、ぁ....私.....ですか?」
「お前以外に誰がいるんだよ」
「ご、ごめんなさい...っ」
声をかけられたのが自分だと分かると、なぜか謝りながら一気に真っ赤になってしまった。
教科書で顔を隠しながらあわあわしている。
なにやってんだろ、なんて思いながら肘をついて女の子の方を向く。
クラスの人と話すなんて初めてな気がする。
「なんで謝ってんの」
「ご、ごめ....」
「だから。なんで謝んの」
「いや、その....っ、癖....というか....
あの、そんな見ないでください.....」
ひたすら教科書に隠れながらもごもごと話す目の前の子。
教科書に遮られて余計に聞き取りづらい。
「いや、先に俺のこと見てたのそっちだろ」
「ぁ....確かに」
ようやく教科書からひょこっと顔を出した彼女に、やっと顔上げたなとケラケラ笑う。
笑わないでよ!と怒る様子に余計笑いがこみ上げる。
頬を膨らませて怒る様子がまるで茹でたタコみたいで、俺の中でのイメージが固まる。
その事実を告げると、さらに真っ赤になって怒られた。
もちろん授業は始まってるから小声だったけど。
「あーあ、おっかし。んで、なんで俺のこと見てたの?」
溢れる涙を指で掬いながら、最初の質問が繰り返される。
「いや....大した理由じゃないんだけど....」
「ん」
「天宮くんと綾瀬くん、仲良いんだなぁ....と思って.....」
「ああ.....湊な...」
「ほら、天宮くん滅多に教室来ないし。来ても綾瀬くんとべったりだし。名前呼ぶのも話しかけるのも彼だけだし。距離感近いし。ほんと仲良いんだなぁ....お互いがお互いのこと好きなんだろうな.....と...思って.....」
そんな事を言われて、目をパチクリさせる。
確かに湊と居ると居心地がいいし、気が楽だ。
いい友人だと思う。
距離感が近い....とか所々首をかしげた部分があるけど。
「まぁ....幼馴染だし、好きだよ」
「っ!やっぱ.....そうだよね、見てて分かる....」
「え? なにが?」
「ぁ、ううん。何でもないよ」
普通に友人として。
友人として湊のことは大好きだ。
だからそう答えて笑う。
妙に納得して頷く彼女。
意味がわからなくて首をかしげたら気にしないでと言われる。
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