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体育 07
「そんなどっか行って欲しいわけ?」
答えない俺に再度降りかかる問い掛け。
先程より近づいた声が背を擽った。
「...っ、当たり前だろ。
お前嫌がらせしかしてこねーもん」
「だってお前の反応面白いから、つい」
「つい、じゃねーんだよ...」
肩に伸びて来た手を払い除け睨みつける。
悪びれる風もなくニヤニヤと笑う大神にあぁ、こういう奴だったわ、と諦めの気持ちが優る。
どうあがいても側から離れる気配のなさにため息をつき、やっぱりサボろうと決意する。
ついてくんな、と吐き捨て逃げるように体育館から出て行く。
「どこ行くんだ天宮!」と背後から聞こえる声は無視。
大神の呼び止める声はもっと無視。
速攻で更衣室へと向かい、服だけ引っ掴んで部屋を後にする。
その後バレなさそうな場所で適当に着替え、教室に荷物を取りに行き、そのまま学校を後にする。
湊には一言「帰る」と連絡を入れた。
今回は大神と遭遇することなく学校から出れて安堵。
多分見つかってたら即連れ戻されてる。
いや、それも運が良ければだ。
最悪どっか連れ込まれてる。
その後なんて想像したくもない。
いつも以上に大神の相手をして神経すり減らしたからか。
寄り道する気力もなく寮へと直帰。
制服を脱ぎ捨てベッドへとダイブすると1日の疲れがどっと押し寄せてくる。
「まじで今日は散々な1日だった....」
新学期早々、色々なことがありすぎた。
おかげで一日がものすごく長かったような気がする。
その後鬼のような数の連絡が携帯に来てたけど。
早々に寝てしまった俺が翌日まで気付くことはなかった。
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