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無視の代償 02

茜色の空から差し込む光で照らされる室内。 それがまるでタイミングを見計らったみたいに 俺達が部屋に入ると雲が室内を薄暗くさせた。 「いきなり何す...んッ!?…ふ…ッ」 扉に背を押し付けられ即座に口が塞がれる。 貪り食うよな荒めのキス。 あの日以来のそれに相も変わらず頭はついて行けなくて。 早くも酸欠で動きが麻痺していく。 「おおが、やめっ……んぅ、ぁッ」 隙間から捩じ込まれた熱い舌。 逃げる舌を絡めとられ、吸われ、舐められ。 ゾクゾクと背中が疼く。 身体の力が抜けていく。 ((ぁ.....やばい)) 何とも言えない感覚にじんわりと俺の下半身が首をもたげ始める。 全身で感じ取る快楽の象徴の表れ。 身体の熱は急上昇していく。 「んんッ、ふ、…ぁ、....ん…んッ」 一度は離れたそれも、間を置くことなく再びくっつく。 角度を変え、何度も。何度も。 熱を帯びた大神の舌が俺を掻き乱す。 逃げても逃げても執拗に追いかけ絡みつく舌に 口内だけじゃなくて脳まで掻き乱されてるみたいで。 キスってこんな気持ち良かったっけ。 なんて思うぐらいにはもう俺の頭はぐちゃぐちゃだ。 拒否する声は愚か、息をするタイミングすら掴めなくて ぐらぐらと視界が揺れる。 胸を押し返す手も段々とその意味を失っていき 気づけば大神の服を握りしめていた。 室内に響くのは唾液の混ざる音と漏れる2つの息だけ。 加えて己にのみに響く、全身で刻まれる拍動音。 それ以外自分の耳に届く音はない。 「ん、ぅ...ふ....ぁ....」 名残惜しげに大神が離れた刹那。 力の抜けた身体が地面に向かって崩れ落ちる。 背中の壁と腕を掴む大神に辛うじて支えられ倒れることはなかったのが幸い。 地面へとへたり込んだ俺は酸素を求めて息を吐いた。

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