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無視の代償 03
「べろちゅーだけで腰砕け?かわいーやつ」
「はぁ、はぁ....っ、黙、れよ.....!
いきなり何しやがんだよ、クソオオカミが....っ」
「何って....キ」
「キスだろ、分かってんだよ、そうじゃねえ!」
肩で荒く呼吸をしながら目の前の男を睨みつける。
「大体、いきなり部屋に連れ込んだと思ったら壁に押し付けてキス...それもべろちゅーしてくる奴があるかよ!マジ何考えてんの、意味わかんねーんだよ!!!」
「俺、男!!分かる!!?」と捲し立てるように文句を並べても大神はただただ楽しそうにニヤニヤと笑うだけ。
その様子にイラッとした俺の口は止まることを知らず、さらに文句を並べ立てる。
「....それに、お前、この間だって——」
「やっと、」
「...あ?なに人の話遮っ.....」
「やーっと喋ったな。まぁ9割文句なのが癪だけど」
「.....は?」
「言ったろ、口開かせてやるって」
妙なドヤ顔を向けられ、沸き起こっていたはずの怒りが
シュンと萎む音がする。
そーいやなんか、そんなこと言ってたっけな。
え、この事?
てかこれだけ?
....って。
いや、別に。
その先を期待してるとかそう言うのではない。
....フラグでもない。
違う。違うから。
口開かせてやるー、とか言って連れ込まれたもんだから
てっきり前みたいに犯されでもすると思ってたのだ。
だから拍子抜けしただけ。
それだけ。
別に、そんな、期待....とか
((....全くしてなかった....訳ではないけど))
「文句ばっかでもその方がお前らしいから。俺も調子狂うし....口開いてくれて良かった、良かった」
拍子抜けするドヤ顔に「マジ意味わかんねー...」と頭を抱える。
半分は自分自身の思考回路に対しても、かもしれない。
グシャグシャと両手で頭を掻きながら深いため息を吐く。
「...なに、どうした?あ、もしかして期待してた?」
「はぁ!?んなわけあるか!!
ふざけたこと抜かしてっと怒....」
「へぇー。俺、嘘は良くないと思うなー?」
“嘘”と言う言葉に心臓がビクリと跳ねる。
顎を掴まれ、視線を合わせてジッと見つめられ逸らすことを許されない。
まるで少し前の思考を読まれてしまってるようで
溢れる冷や汗と鳴り止まない心臓の爆音。
一筋の汗が背中を伝って落ちる。
「嘘なんか....」
「キスだけで腰抜かした上に勃たせておいて、
嘘じゃないって?よく言うよ。服まで掴んでたくせに」
「ぅ、あ、触っ...な、ばかっ」
流石にバレバレの嘘すぎたか。
ほんのり首をもたげて下着の中で主張しかけているものを掴まれ、制服の中で先走りがグチュと音を立てる。
まさか、俺が気づいてないとでも思った?と耳元で囁かれ一気に耳まで真っ赤になるのが自分でも分かる。
やめろ、やめてくれ。
これ以上触られたら線を超えておかしくなってしまいそうで。
必死に首を振りながら膝を閉じる。
「あははっ、…本当は求めてるくせに。素直になれよ」
「ち、ちがっ」
「よく言うよ、期待してたくせに。
今だって期待してるんだろ、これから起こることに」
「ち、が…ッ、うっせ、黙れよバカ!!」
心の奥の奥を見透かされたみたいで。
素直になれないしなりたくもない俺は首を振る。
「まーなんでもいいよ、ヤれば答えなんかすぐ分かる」
「ゃ、ちょ、そ「異論は認めないから」」
ほんの一言で反論の声が抑え込まれ、完全に大神のペースで物事が進んでいく。
「お前は素直じゃなくてもお前の”身体”は素直だからな」
「…っ、最悪、死ねッ」
「んなこと言うなよ、余計に啼かせたくなる」
文句を吐く口を軽く塞ぎ、ペロリと舌なめずりしながら
楽しそうにそんな事を言う大神。
表情も発言も完全にただの変態エロ狼。
どう足掻いても結局ヤられんのか。
「.....やっぱ一旦死んでくれば?」
「安心しろって、最高に気持ち良く善がらせてやるから」
「別に求めてねーしまず人の話聞けや!!」
ニヤッと口角を上げて宣言する大神。
背後でカチッと金属が噛み合う小さな音が響く。
あ、聞く気ねぇな、こいつ。
なんて思いつつ。
気づけば柔らかいベッドに沈み込んでいた。
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