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ゲームの時間 04
「あ゛〜〜もう!なんなんだよ、1番欲しいものって!」
開始からすでに30分が経過しているが、未だに俺は正解に辿り着けないでいた。
食べ物、飲み物、どっかの店の割引券。
優待券、招待券、本物は渡せないから”現金”と書いた紙。
思いつくだけ手当たり次第持って行ったがどれも不正解。
挙げ句の果てには「もっと頭を使えよ、バーカ」と言われる始末。
悔しいが、あいつの言うことは正しい。
この鬼のように広い校内や手持ちの物からたった一つの正解を手当たり次第に探すなんて無謀の極みだ。
それに30分も広い校内と生徒会室を走って往復しているせいで体力もそろそろ底をつきそうになっている。
当てもなくフラフラと校内を歩きながら、紙に書かれた内容について頭をひねる。
付き合いがある訳でもなく特別仲良しでもない相手の今1番欲しいものなんか、いくら頭をひねったところで思いつくはずもないのだが.....
そんなことは言ってられない。
『あーそうそう、言い忘れてたけど』
『.....あ?』
『お前が負けたら俺の言うことなんでも聞いてもらうから。その事忘れず頑張って頭使えよ、こーうくん』
「なにが、こーうくんっだ。気持ちわりぃ....!」
先ほどバカにするように言われたことを思い出すと寒気がする。
絶対負けるもんか。
気合いを入れ直す。
時間が経つにつれ大神の口調はどんどん砕けていき、どんどん乱暴で横暴になり、人が困り果てる様子を心底楽しそうに眺めるというクズさを極め始めている。
((あれが本来の素の姿.....か))
とんだクズ狼に捕まったもんだと胸焼けを覚えながらも、残り30分全力で校内を駆け回る。
........が、まぁ結果は予想通りだった。
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