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【詰】第96話
あの告白大会の後、お酒を飲みながら、―――成はただのジュースだけど、二人でダラダラとした時間を過ごしていた。
「あ、しまった。」
里弓がグラスを倒し、ワインがローテーブルに広が
った。零れたワインを拭こうともせずに、新たにグラスに注ぎ始める。
見た目は変わらないけれど、かなり酔っているらしい。ここまで酔っていれば、堅くなった里弓の口も開くかもしれない。
「この前―――、僕の家で話した時、ずっと好きだったって言ってたけど。」
成がさりげなく切り出すと、里弓はさして照れもせず口を開いた。
「俺が離れて暮らすようになって、しばらくしてから。」
「じゃあ、何で―――、」
何故、冷たくしたの?何故、そばにいなかったの?何故、恋人になろうとしなかったの?好きだと言われたら、成はたぶん断れなかったのに。
何故、何故、何故―――と、たくさんの『何故』が頭をぐるぐる回る。
「だって、おまえ、アルファだったからな。可愛いオメガを見つけるのが、成の為だって思って。突き放そうとしてたんだよ。」
「僕の?」
「そう。アルファ同士で恋しても、番になれないだろ。どんなに好きでも、未来はない。恋人同士のアルファの心中率、知ってるか?52パーセントだぞ。半分は死ぬんだ。どうしようもねぇよ。」
悲劇だ―――と、里弓が辛そうに言う。
もしかしすると、アルファ同士で恋をした人が身近にいたのかもしれない。ただの勘だけど、外れていない気がする。
成が里弓の手を握ると、自嘲するように笑った。そして、成を振り返ると、目元を和らげて眩しげな顔をする。
「ほら、俺は、元々従弟バカだろ。昔から、おまえが可愛くて、可愛くて仕方かない。」
―――いやいやいや、ちょっと、待って!
唐突に語られ始めた里弓の告白に、頭も体もフリーズする。
「本当は傷ひとつ付けないように、大事にしまっておきたい。」
思わず、うう―――と、成の口から呻き声が出た。
酔っ払った隙に里弓の本音を色々と聞き出してやろうと思っていたが、恥ずかしくてこちらが耐えられない事態だ。
「こんな俺が、可愛い従弟をわざわざ不幸に引き摺り込むようなマネ、出来るわけねぇだろ。だから、すっぱり諦めた。」
里弓がワインの入ったグラスをテーブルに置く。中身はあまり減っていない。
「―――つもりだったんだが。まあ、実際には、全然諦めきれてなかったワケだ。しつこいだろ。」
里弓がケラケラと笑う。
あっけらかんと話しているけれど、ただの強がりに見えた。
好きでごめんな―――と、謝られた気がする。もしかしたら、里弓は成とこうなった事に、まだ罪悪感を抱いているのかもしれない。
成もちゃんと好きなのに。
「―――里弓兄。」
フラフラしている里弓の頭を引き寄せて、抱き寄せた。柔らかい髪が指に絡む。
里弓は全く抵抗せず、成の腕の中に収まった。
「好きでいてくれて、ありがとう。今、里弓兄と同じ気持ちでいれて、僕はとても嬉しい。大好き、里弓兄。」
少しでも成の幸せが伝わりますように―――。
そう気持ちを込めて、里弓の髪へそっと唇を寄せた。
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