11 / 101
【銀】第11話
どこもかしこも蜂蜜のように甘い。
唾液も涙も、孔から流れるそれもまた、全身が甘かった。
溢れる目の前の蜜を里弓がじゅっと吸うと、もっととでもいうように成が孔を震わせる。
―――これは現実か。
獣のように絡み合う二人を、里弓の意識が分離して遠くから見ていた。だからか、匂いも温度も全てが生々しい癖に、妙に現実味がない。
「りく、に、ぁあっ!」
成は仰向けで下半身を天井に向けて開き、しどしどと濡らす孔を里弓の眼前に晒している。正気であれば憤死しそうな体勢も、嫌がる事なくされるがまま。
「やぁ、んん、なかっ、なかに、」
孔の周りを丁寧に舐めていると、成が切なそうに乞う。里弓は言われた通りに、開かれた孔に舌を突っ込みながら、中指も一気に付け根まで入れた。
ぬるぬると旨そうに孔が里弓の舌と指を飲み込んでいく。抵抗は全くない。
さすがオメガの体だ。
―――アルファの筈の、成が。
「ぁあっ、もう、もう、おねがぃ、」
待ちきれない―――と、成がまるで嫌がるように首を振る。里弓は成の下半身を一度降ろしながら、己の凶悪なそれを取り出した。期待に熱い息が漏れる。
「りく、にぃ、早く、」
「ああ。」
孔に馴染ませるようにすると、里弓の背中に成が足を回して急かす。焦らすつもりはない。
頭の糸はとうに千切れてしまって、止めようなど思いもしない。
この甘い体を貪る事だけが全てだ。
くぷん―――と、里弓の先端が成の孔へ沈む。
「ぁ―――ぁあっ、あ、あ、」
成が感じ入った顔をして、里弓のそれを飲み込んでいく。しかし、半分ほど入れた所で突き当たった。
「ぁあ、りくに、もっと奥、」
「これ以上、入らねぇ。」
ここは子宮の手前辺りだろう。オメガとなって日が浅い成の体には、まだ子宮がきちんと出来ていないのかもしれない。
「や、なんで、いじわる、」
自分の体をよく分かっていない成が、子供のように首を振りながら泣く。
その顔を見ていると、何故だか幼い頃の成の姿が頭を過った。
行かないで―――と、泣いた子供の顔が。
ともだちにシェアしよう!