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【銀】第14話
成の体は膝が胸に付くほど折り畳まれ、中には里弓がみっしりと詰まっている。自分の体も里弓の体も同じように熱く燃えて、何故だかひどく感動してしまった。そんな場面ではない筈なのに、泣きそうになる。
もしかすると、いつも距離感の分からないほど遠くにいる理巧が、誰より近い場所にいるからかもしれない。
「ぁあっ、りくにぃが、いっぱいだ。」
「まだ。」
成が感極まっていると、脚の間で里弓が目を細める。そして、中にある雄で成の更に奥を抉じ開けようと動いてきた。
「あっ―――、まだ、入るの?ぁあっ、」
「入る。」
クッ―――と、里弓が男臭く笑う。
普段は見せない雄の顔に、胸が締め付けられる気がした。嬉しいような、寂しいような、自分でも分からない気持ちだ。
あやふやな感情を追おうとしたが、行為の最中に考える暇は与えられなかった。
「ぁぁあ、りく、こわいっ、」
「さっきは自分からねだっただろう。」
そんな事を言われても覚えがない。
成の中の最奥だと思っていた場所からまだまだ奥へ、里弓が入ってくる。成が恐怖の声を上げようと、お構い無しだ。
ずぶずぶと底なし沼に落ちるようで、溺れまいと必死で里弓の腕を掴んだ。
「ひっ―――、ああぁっ!」
予告もなく、目の前が真っ白になる。顔に自分の飛沫が飛ぶが構う余裕はない。
一瞬、気を失いそうになる。ふわっと意識が浮遊したが、里弓の動きは止まらず強制的に現実に引き戻された。
「ぁあ、まって、やぁんっ、」
震える体で身をよじるが、里弓の大きな手で腰を掴まれれば、非力な成は逃げられやしない。
次第に恐怖が去ると、ただ深い快感だけが残った。全身が痺れたように気持ちいい。
「ぁあ、はぁん、きもちいっ、おく、」
「はっ、良かったな。」
呆れたように言うが、里弓も気持ちよさげな顔をしている。体裁とか常識とかプライドとか、いつも着ている表皮を脱ぎ捨てたように見えた。
ああ、近くにいる―――と、思う。
「成、中に出すぞ?」
「あっ、あっ、なに、」
「仕方ねえんだよ。じゃないと、いつまでも収まらないだろ。」
里弓が動きを止めて、何やら意味の通じない話をしている。こちらはイきそうな所を止められて、聞いていられる筈はない。
焦れてた成は自ら腰を揺らめかせた。
「わかんないっ。それより、はやく。うごいて、奥ついて、」
「本当、おまえ、最悪だ。」
「ぁあっ、あっ、あっ!」
急に里弓の大きなそれを激しく出し入れされて、成は身悶えた。強烈な気持ちよさで、意識がふわふわと飛ぶ。
少し前へ倒れてきた里弓の頭を引き寄せて抱き締めると、抱き締め返された。何だか恋人同士のようだ。
これが欲しかった―――と、成の体は水に飢えた獣のように、里弓から注がれた全てを受け止めた。
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