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最愛の人?新婚旅行?初夜?
意味が分からない言葉の数々に、はっ、はっ、と途切れと途切れになる呼吸に一度ゴクンと唾を飲み込んだ。
「…カナってば俺より菜緒さんと長い事一緒に暮らしてるのに菜緒さんのこと何も知らないんだ」
「ど、ゆ…こと…」
一度動きを止めて凌が俺の背後から同じようにバスタブのふちに両腕を置き、背中に覆い被さって来た。
耳を甘噛みされ、べろりと舐められる感触にヒッと声が漏れる。
「菜緒さんはね、同性愛者なんだよ。俺との結婚はただのカモフラージュ。今頃大切な子と仲良くやってるんじゃない?」
「は……………、……うそ」
「嘘じゃないよ。なんならさっき送られてきた2人で楽しそうに写ってる写真、あとで見せてあげようか?てか、カナさ、なんで菜緒さんがどの男とも付き合わなかったのか変に思わなかったの?」
「ぜ、んぜん…ただ、理想が高いの、かと…ン!?」
バスタブに触れていた手が俺の頬を掴み無理矢理横を向かされた。凌が横に体を傾け俺の唇に触れる。
凌との初めてのキスに歓喜とも驚きとも不安とも取れる感情が湧く中、じゅると口内の唾液を吸い取られ体が震えた。
「カナはほんとうに馬鹿だね。そういうところも好きだけど」
「………すき?」
不思議な単語に反応すると、凌はバスタブから両手を離し、スルスルと俺の胸に手を添わす。敏感になっている両胸を弄られる感触に、堪らず甘い声が出た。普段自分では触らないのにどうしてこんなにも感じてしまうんだ…?
「好きだよ。知らなかった?カナはこれからずっと俺と一緒だよ。仕事もやめて、今日からはここで暮らすんだ」
「は…?なに言って…」
仕事をやめる?て、どうして。
それにここは姉と凌の愛の巣の筈。
「菜緒さんも了承済みだよ。もしかしたら菜緒さんの大切な人もここで暮らすようになるかもね。相手次第だけど。…カナは暮らしてくれるでしょう?」
「…い、やっ…無理だろ」
「どうして?家のことならしなくてもいいよ。カナ専用の部屋もあるからずっとそこで遊んで暮らせばいい。カナのことは俺が養ってあげるから。その代わり勝手にこの家から出ないでね。出るときは俺と一緒。いい?カナ…」
胸を触っていた手がそのまま下半身に伸びていく。反射的に体が揺れたが、このままではいけないと震える足に力を込めて、思いっきり腰を引き凌との繋がりを断つ。ズルリ、と抜けた異物に声が漏れた。
そのままバスタブを背に向け、床に座り込んで凌を睨み付ける。
「意味、分かんねえよ!じゃあなんでお前は姉ちゃんと結婚したんだ!そんなの、…おかしいッ…うっ」
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