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劇毒物系彼氏-2

悪夢じみた昨晩の出来事が頭から離れず何も手につかない。 どんなに忘れ去ろうとしても肌身にしっかり刻みつけられて埒が明かない。 夕方のおつかいの帰りであった式は雲行きの怪しい頭上を仰いだ。 『なるほど、見つけたぞ、式』 隹に殺意を抱く余り注意力が散漫になっていた。 普段ならば察知することができていた雑魚の気配を見逃した。 「やっと見つけたぞ、式」 「手間かけさせやがって、裏切りモンが」 式は、その瞬間、観念した。 背中に押しつけられた銃口の感触に潔く諦めた。 平和だった日々を、安らぎを与えてくれた旅館の者達を、束の間の自由を。 でも一つだけ。 『最強の殺し屋が乱れるザマを拝見できるなんて貴重な一夜だ』 死ぬ前にお前にだけは止めをさしたかった、隹。 「ソイツは俺の獲物だ」 大通りから遠く離れた高く深く生い茂る竹林の奥。 利き手にナイフを突き立てられて拳銃を落とし、その場にしゃがみ込んだ男が二人。 呆気にとられて立ち尽くす式。 懐に常備している鋭く美しい武器を瞬時に放ち、命中させ、愉悦する隹。 「ハイエナみたいに横取りするなよ」 彼が翳した次のナイフを目の当たりにして式の金縛りは解けた。 解けるなり、自分を狙った男二人の前に立ち、両腕を広げた。 「殺すな、隹」 隹は青水晶を意味深に細めた。 逃げていく二人を式の肩越しに白々しい眼差しで見逃した。 「また狙われるぞ」 「構わない、それでいい、罪深い俺にふさわしい定めだから」 ただ、もう、ここにはいられない。 「俺と来るか」 降り出した雨。 式は静かに驚いた。 「明日、ここを発つ」 それだけ言って去って行った隹の背中を消え失せるまで見送った……。 鳴り止まない夜の雨音。 「明日、ここを去る」 世話になった人々に別れを告げてきた式は隹の元を訪れて言う。 「お前とは行かない。一人で行く」 昨日と同じくスーツ姿で長い足を組んでいた隹は、リプレイさながらに、壁ドン、顎クイ。 「わざわざお別れを言いにきてくれたわけか」 「さっきの礼を言っていない」 「律儀な殺し屋め」 「もう殺し屋じゃない」 「礼なら体で返せ、喜んで受け取ってやる」 「じゃあ、そうする」 隹は珍しく目を見開かせた。 イ草の香る畳に脱ぎ散らかされた白いシャツにセーター、ジーンズ、下着。 布団が敷かれた奥の間へ移動するのもひと手間に思えて、隹は、その場で式を。 「俺と来いよ」 切れ長な双眸に涙を溜め、畳に頻りに後頭部を擦らせていた式は頭上の青水晶をキッと睨みつけた。 「誰がお前となんか行くかッ」 「つれないな、式」 艶やかな裸身に覆いかぶさった漆黒。 「俺はもう誰も殺したくないッ」 「殺さなくていい、俺の横にいりゃあいいんだよ」 「ッなに、言って……」 隹は笑った。 本当はずっと探していた獲物をまるで肌身離さないよう掻き抱くと、本人も昨夜知ったばかりの弱点にかぶりついた。 「あっっ」 「お前の乳首。ペニスより勃起してる」 式は嫌々と首を左右に振った。 切ないくらい疼く、ぷくりと膨れて屹立した突起を無造作に食まれ、吸われ、舐められると、隹の膝上で痙攣がちに仰け反った。 「い……ッや……ッ」 かつて暴君の背後に控えていた式を一目見た瞬間から思っていた。 まだ幼くも美しい殺し屋だと。 奪って自分のものにしたいと。 「なぁ、式。お前何歳だ?」 三十一歳の隹に問われて式は涙ながらに素直に答える。 「っ……じゅう……きゅう、だ……ッ」 「十九……十九歳って未成年じゃねぇよな、十八歳以下が未成年だろ、いや、違うか、十九歳でも未成年か」 「うう……っも、こんな……いや……っ離してくれ……」 「誰が離すか」 やっと手に入れたんだからな。 「昨日より敏感になりやがって」 隹は膝上に式を抱いたまま欲望の証を突き入れた。 昨夜はゆっくり解して処女を奪い尽くした後孔に本能のまま一気に最奥まで。 「は……ゆうべ、あんなに開いてやったのに。もう閉じてんじゃねぇか」 「……ッやっぱり……ころしてやるッ」 「そのチャンスを明日から命日までいくらでもくれてやる」 膝上で瀕死の獣の如くビクビクしている式の乳首を、また。 よく締まった双丘を鷲掴みにし、小刻みに揺らしながら、自身の唾液で濡れそぼった尖りをさらに溶かすように。 式は限界まで喉を反らした。 我が身の奥まで暴く熱塊をあらん限りの力で締めつけた。 「これ以上、舐めちゃ、や……っもぉ、吸わないで……ッ隹……っいや……」 「おい、式。そんな顔で、こんな締められて。やめられるわけねぇだろ」 「いじ……わる……ッ」 「……意地悪で済まされるんならもっとご奉仕してやるよ」 すっかり年相応になった、いや、まるでこどもみたいな式に隹は今まで以上にハマってしまった。 ピンと上向く乳首を大胆に舐め上げ、舌尖でしごきながら、もう片方の乳首を長く太い指で捏ね繰り回す。 そうして左右の突起を交互に蹂躙溺愛し、式の肉奥をじっくり深く突く。 式は堪らず生まれて初めて自分で定めた標的にしがみついた。 世界で一番殺したい男に縋りついた。 「ちくび……とけてなくなっちゃう……」 零れ落ちた式のか弱い声に隹の俺様本能が増したのは言うまでもない……。 「やだ、かわいい。このコが世界一の殺し屋なの?」 「近いぞ、セラ」 「……長旅のせいか、えらく疲れているようだ」 結局、強引に自分の手元に式を攫ってきた隹。 ファミリー幹部のセラ・繭亡の兄妹、阿羅々木にドヤ顔でお披露目している。 断崖絶壁に佇む屋敷で一番立派な部屋から仲間が去った後、自分のベッドに寝かせた式に囁きかける。 「俺を殺すまで俺のそばにいろ、式」 答えるまでもない、望むところだ、隹。

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